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「竹縁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

竹縁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
俊寛」より 著者:芥川竜之介
居りましたから、御招伴《ごしょうばん》に預《あずか》った訳なのです。 御部屋は竹縁《ちくえん》をめぐらせた、僧庵《そうあん》とも云いたい拵《こしら》えです。縁....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
下に、柿のこずえが高く突き出していた。その紅い実をうかがって来る鴉のむれを、藻は竹縁《ちくえん》に出て追っていた。 「はは、鴉めがまた来おったか。憎い奴のう。が....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
よって奉行所の方でも幾分か警戒したらしい。 それは六月の末のゆうぐれで、お冬は竹縁に出て蚊やり火を焚いていたが、その煙りのあいだから捕り方のすがたを一と目みる....
平馬と鶯」より 著者:林不忘
、やさしい鶯が縁になって、その鶯よりも優しい飼主の少女と今こうして庵《いおり》の竹縁に腰をかけて話している。 庭いっばいの日光に、苔《こけ》の匂がむせかえるよ....
加護」より 著者:宮本百合子
れは足掛三年ほど前のことである。 八月も末近い或る夕、蚊遣を燃《た》きながら、竹縁で風を入れていたお幾は、思い掛けず、お恵さんの良人が死去したという報知に驚か....
黒馬車」より 著者:宮本百合子
た宮部の熱は、夜になっても別にあがりもしなかった。 それでも病人の部屋のわきの竹縁に消毒液をといた金□がならんであったり、氷の音がしたりすると、皆は、いやなも....
人面瘡物語」より 著者:田中貢太郎
葉の赤くなった蔦葛がそれに絡まっていた。かるさんの男は其の門口から入って往った。竹縁をつけた入口の処に二人の家臣が袴を穿いて坐っていた。 「旦那様が御待ち兼ねの....
」より 著者:岡本綺堂
いたお豊は振りむいた。 「あれ、いらっしゃいまし。」 迎い入れられて、又次郎は竹縁に腰をおろした。 「風がすこし凪いだので、角蔵は沖へ出ましたが、また吹出した....
平家蟹」より 著者:岡本綺堂
いうはむずかしいもののう。 (二) 浦の苫屋、二重屋体にて竹縁朽ちたり。正面の上のかたは板羽目にて、上に祭壇を設け、注連を張れり。中央の出....
人狼」より 著者:岡本綺堂
づいて奥へ出入りの古びたる障子。下のかたは折りまわして古びたる壁、低き竹窓。前は竹縁にて、切株の踏み段あり。下のかたの好きところに炉を切りて土瓶をかけ、傍らに粗....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
「安居のお妨げ、何とぞお免しくださりませ。」 被衣をするりと払って、かれは狭い竹縁にあがって、あるじの兼好法師とむかい合って淑やかに坐った。小さい庵室の中には....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
とも台湾に同じ。小舟は木身竹屋より成り、竹を編みて屋根をおおう。また、船の両側に竹縁を有す。これをこぐにはシャモジ形の板を用うるもまた奇なり。余が所見を賦したる....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
来たんでしょ」 「行ってみろ」 「はい」 伊織は、裏へ廻って行った。 武蔵は竹縁に腰かけて、そこから見える武蔵野の夜をながめていた。もう穂芒が穂をそろえ、草....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
、お千絵の視線を慕ってきた。 「おや?」 かの女は初めて好奇の眼を見ひらいて、竹縁から庭下駄をはいた。そして、元の窓へ返ってきてよく見ると、西判の生紙に美女の....
後の日の童子」より 著者:室生犀星
あたりには既う無かった。 「ほら、離亭で朱子を縫うている。見えるかな、鳥籠のある竹縁のそばにいるではないか。」 「ええ、呼ぼうか知ら。」 「それよりもそっと行っ....