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笑まし
「笑まし〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
笑ましの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奈々子」より 著者:伊藤左千夫
彼は命取らるる水とも知らず、地平と等しい水ゆえ深いとも知らずに、はいる瞬間までも
笑ましき顔、愛くるしい眼《まなこ》に、疑いも恐れもなかったろう。自分はありありと....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
くして始めて成就する。そこには犠牲もない。又義務もない。唯感謝すべき特権と、ほほ
笑ましい飽満とがあるばかりだ。 目を挙げて見るもの、それは凡てが神秘である。私....
「爬虫館事件」より 著者:海野十三
に争っている裡に、いつの間に開いたか、入口の扉が開かれ、そこには此の場の光景を微
笑ましげに眺めている帆村の姿があった。 「皆さん大変お待たせをしました」と挨拶を....
「蠅男」より 著者:海野十三
ぶりで、新温泉の建築を見ていると、そのときの書生の心境をハッキリ見透せるようで頬
笑ましくなるのであった。彼は久し振りに新温泉のなかに入ってみる楽しさを想像しなが....
「寒の夜晴れ」より 著者:大阪圭吉
けもなく親しくなって行きながら、すぐにそのことに気づいてしまった。 わけても微
笑ましいのは、家庭に於ける三四郎だった。どんなに彼が、美しい妻と一粒種の子供を愛....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
うで一番大きかったが、学科は一番できなかった。そしていつも大きな口をにやにやと微
笑ましていた。 が、そんな「武士道の迷行」へばかりでなく、僕はまた本当の武士道....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
のやさしい、眉の太い、引緊った口の、やや大きいのも凜々しいが、頬肉が厚く、小鼻に
笑ましげな皺深く、下頤から耳の根へ、べたりと髯のあとの黒いのも柔和である。白地に....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
ましたか」 「水野殿はそちがきつい贔屓だ。今夜も気をつけて給仕いたせ」と、播磨は
笑ましげにいった。 機嫌の好い、いつものように美しい、陰りのない男の顔を見て、....
「棲霞軒雑記」より 著者:上村松園
に一片の香の物を賜われよ、と門人衆をいましめた話を憶い出しながら私は久しぶりに微
笑ましい気持ちを抱いて我が家へ帰ったのである。 私の七つか八つの頃のことである....
「青蛙神」より 著者:岡本綺堂
か。おれ達はもう月を拝んでしまったのだ。 中二 今帰った人は誰です。 李中行 (
笑ましげに。)あれはおまえの識らない人だ。三年|前にここの家へ泊まったことがあっ....
「人狼」より 著者:岡本綺堂
会釈して、テーブルの前に腰をかける。モウロも向き合いて腰をかける。) モウロ (
笑ましげに。)わたくしはあなたを識っています。このあいだ庄屋さんの家で、わたくし....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
覚には、この父もほとほと感じ入ったよ。」と、師直は侍従のうしろ姿を見送りながら、
笑ましげに首をゆすった。「それにくらべると、あの女房め、眼付きばかりは小賢しげで....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
けているようにも思った。 「どうだい、よく咲いたろう。」 「むむ。」と、重太郎も
笑ましげに答えて、猶も飽かずに其花を眺めていたが、「ねえ、此花を一つ呉れないか。....
「随想」より 著者:上村松園
々の議闘もまた争論も生れる、しかしよくも悪くもこれは過去をふりかえった時には、微
笑ましい愉悦さを覚えしめるものと私は思えてならない。 (昭和十三年)....
「活人形」より 著者:泉鏡花
いますか。まあ、こちらへ。と二階なる密室に導きて主客|三人の座は定まりぬ。高田は
笑ましげに巻莨を吹して、「早速ながら、何は、令嬢は息災かね。「ええ、お藤の事でご....