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符牒
「符牒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
符牒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「非凡なる凡人」より 著者:国木田独歩
もいい、僕は」 「そうか、それでは」と桂は女中に向かって二三品命じたが、その名は
符牒《ふちょう》のようで僕には解らなかった。しばらくすると、刺身《さしみ》、煮肴....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
れても自ら怪しみは仕まいけれど、医学士と云うは唯穴川などから呼ばれる一種の綽名か
符牒の様な者なので、呼び掛けられて自分で少し後暗く思うのだ、余は是も言葉巧みに「....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
った。十段ばかり上ると、そこに巌丈な鉄扉があって、その上に赤ペンキで、重大らしい
符牒が無雑作に書かれてあった。中佐はそれには眼も呉れず、扉のあちらこちらを、押え....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
とは俺のことだ。肋を一本置いてきねえ」 ――また肋を持って来る。これはもちろん
符牒である。 「うん、お前が陶器師か。名だけは以前から聞いているよ」 庄三郎も....
「暗号の役割」より 著者:海野十三
ラン この四角な文字の配列を眺めていると、この中のンという文字は、たしかに或る
符牒を示すものであると察せられる。言葉を構成しているものではないのだ。 しから....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
こへ移動して来るのはあたり前だと気がついた。 「この通りです。どの缶にも、赤線の
符牒がついていますよ。おどろきましたね」 佐々は、部屋の真中に山のように積みあ....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
子が、人知れず、脚を上げたり下げたりする、幽な、しかし脈を打って、血の通う、その
符牒で、黙っていて、暗号が出来ると、いつも奥様がおっしゃるもんだから、――卓子さ....
「東京要塞」より 著者:海野十三
とを、松監督さん、竹監督さん、梅監督さんと呼んでいたが、もちろんそれはこの中での
符牒であるにちがいなかった。 さあ、ここが帆村のためには重大な戦場なのであった....
「寄席と芝居と」より 著者:岡本綺堂
類が継立の仁助などは、いずれも好く出来ている。落語でも芝居でも、人名などは一種の
符牒に過ぎないように思われるが、決してそうで無い。道連れの小平などという名を聞け....
「銅銭会事変」より 著者:国枝史郎
「十禁」の事や「十刑」の事や「会員証」のことや「造字」のことや「隠語」のことや「
符牒」のことや「事業」の事や「海外における活動」のことについても、かなり詳しく記....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
の紙飛礫を、投げさせたのも彼女であった。彼女にいわせるとその「あい」は、「愛」の
符牒だということであった。つまり彼女は銀之丞に、一目惚れをしたのであった。そうし....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
たというのだろう? それにさ、も一つ変なことがある。関東方だの京師方だのと、妙な
符牒をつけている。どうも俺にはわからないよ。――と、こういうと穏当なのだが、ナー....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
辞学の原書をたよりたより読まなくちゃあ分らん位むつかしい文章が書いてある。まるで
符牒を書いてあるようなものがある。で世人一般に分らない字を知るのをもって教育の最....
「娘」より 著者:岡本かの子
の男達の艇にねばられることがあった。彼女たち娘仲間の三四人は、これに「源五郎」と
符牒をつけていた。 彼女がいま近づいて来た相手をくわしく観察する暇もない程素早....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
うなわけで、父俊成が幽玄ということを説きはじめるまで、父子二代の傾向が幽玄という
符牒によって知られはじめた頃、世人はその表現を正当に理解することは出来なかったの....