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「筐底〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

筐底の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
兄たち」より 著者:太宰治
云々。」というのであります。どういうものでしょうか。やはり、之《これ》は、大事に筐底《きょうてい》深く蔵して置いたほうが、よかったのでは無かったかと、私は、あの....
ろまん灯籠」より 著者:太宰治
ったのである。その他にも、私には三つ、四つ、そういう未発表のままの、謂《い》わば筐底《きょうてい》深く秘めたる作品があったので、おととしの早春、それらを一纏《ひ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
まま両替しては、かえって世間の疑惑を引き易《やす》いと思わるるものは、そのままで筐底《きょうてい》深くしまって置いて、後日の楽しみに残すこととしました。 これ....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
たけれど、あんまり虹ヶ浜に似ていて、私の心に小説が湧くので、御免を蒙って其は私の筐底《きょうてい》ふかく蔵すことにいたしました。 七月二十三日 〔巣鴨拘置所の....
瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
て輿論に質すため、時節を見計らい世に公にするの考なりしも、爾来今日に至るまで深く筐底に秘して人に示さざりしに、世間には往々これを伝うるものありと見え、現に客冬刊....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
しではなかった。椿岳は一つの画を作るためには何枚も何枚も下画を描いたので、死後の筐底に残った無数の下画や粉本を見ても平素の細心の尋常でなかったのが解る。椿岳の画....
十日の菊」より 著者:永井荷風
びがたしとする所である。 窮余の一策は辛うじて案じ出された。わたしは何故久しく筐底《きょうてい》の旧稿に筆をつぐ事ができなかったかを縷陳《るちん》して、纔《わ....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
いつも約束をたがえ、頬かむりを続けてしまいました。 ここを品よくいえば“いつか筐底の古反古になん成りけるを――”というわけなんです。けれど、別冊編集子はなかな....
編輯雑感」より 著者:喜田貞吉
自分の部落に関する研究はもとより本号の発表を以て尽きるものではない。既に起稿して筐底に蔵した原稿もあれば、将来ますます研究を重ねて発表してみたいものも甚だ多い。....