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箍
「箍〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
箍の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
して言えねえ。安心していろ」 正勝はそう言って、静かに微笑んだ。紀久子は身体の
箍《たが》が全部緩んだような気がしながら、目が熱くなってきてなにも言うことができ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
えながら、ともかくも久保町の通りを行き過ぎると、荒物屋の前に道具をおろして手桶の
箍をかけ換えている職人の姿が眼についた。それは往来を流してあるく桶屋である。もし....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
であるから捗どらず、元の宿まで帰り着いた頃には夜が明けて、かの老人は店さきで桶の
箍をはめていた。まさに尋常の人ではないと見て、韋は丁寧に拝して昨夜の無礼を詫びる....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
と、相変らず恋の楯にでも見るような、いかにも紋章的な貴婦人だった。けれども、その
箍骨張りの腰衣に美斑とでも云いたい古典的な美しさの蔭には、やはり、脈搏の遅い饒舌....
「黄金虫」より 著者:佐々木直次郎
長さは三フィート半、幅は三フィート、深さは二フィート半あった。鍛鉄《たんてつ》の
箍《たが》でしっかりと締め、鋲《びょう》を打ってあって、全体に一種の格子《こうし....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
ょいと取る。 鼻の前を、その燈が、暗がりにスーッと上ると、ハッ嚔、酔漢は、細い
箍の嵌った、どんより黄色な魂を、口から抜出されたように、ぽかんと仰向けに目を明け....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、と物凄く響いたのを、昼寝の目を柔かに孫を視て、「軒近に桶屋が来ているかの、竹の
箍が弾いたようじゃ。」と、またうとうとと寝ったほど、仏になってござるから、お京が....
「野道」より 著者:幸田露伴
て独酌した。鼠股引の先生は二ツ折にした手拭を草に布いてその上へ腰を下して、銀の細
箍のかかっている杉の吸筒の栓をさし直して、張紙の※口|呑んだままなおそれを手にし....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
かされて、莫大の金を取られてしまった。そこで、祖母は家へ帰ると、顔の美人粧と袴の
箍骨を取りながら、祖父にその金額をうちあけて、オルレアン公に支払うように命じたの....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
故はその樽を荷車から取り出す時に起ったのであった。樽はごろごろっと転がり落ちて、
箍がはじけ、酒店の戸口のすぐ外のところの敷石の上に止って、胡桃の殻のようにめちゃ....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
えて来る……。 「……今まで手がけた事件のうちでこんな楽な事件はございませんて?
箍が弛んだぞ、おい、レザール! 君はまるっきりこの事件の性質というものを知ってな....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
から霜になるであろう。その石臼に縋って、嫁菜の咲いたも可哀である。 ああ、桶の
箍に尾花が乱るる。この麗かさにも秋の寂しさ…… 樹島は歌も句も思わずに、畑の土....
「二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
ば予期以上にいよいよ幻滅を感じて、案外|与しやすい独活の大木だとも思い、あるいは
箍の弛んだ桶、穴の明いた風船玉のような民族だと愛想を尽かしてしまうかも解らない。....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
れるまでのことはない、手拭だけを絞ってもらえば顔も一人で洗うたが好い気持じゃ、と
箍の緩みし小盥にみずから水を汲み取りて、別段悩める容態もなく平日のごとく振舞えば....
「春泥」より 著者:久保田万太郎
合がつかなくなって来た。……というほどのことはなくっても、その間に、へんにどこか
箍のゆるんで来たような、ホゾの外れて来たようなかたちのあるのがかれに感じられて来....