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「算盤〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

算盤の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
桃太郎」より 著者:芥川竜之介
み寄った。 「一つ下さい。お伴《とも》しましょう。」 桃太郎は咄嗟《とっさ》に算盤《そろばん》を取った。 「一つはやられぬ。半分やろう。」 犬はしばらく強情....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
しかしこれは必しも道徳的にわたしの進歩したのではない。唯ちょっと肚《はら》の中に算盤《そろばん》をとることを覚えたからである。 又 わたしはどんなに....
保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
さなかった。のみならずしまいには彼の前へ軍服の尻《しり》を向けたまま、いつまでも算盤《そろばん》を弾《はじ》いていた。 「主計官。」 保吉はしばらく待たされた....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
りましたが、さあそれから日の暮までが、待遠しいの、待遠しくないのじゃありません。算盤《そろばん》を弾く。帳合いを手伝う。中元の進物の差図《さしず》をする。――そ....
美術曲芸しん粉細工」より 著者:阿部徳蔵
ちよいちよい、通りすがりの人達が立止つては、花壇の花をほめて行つた。もと/\、算盤を弾いてかゝつた仕事でないのだから、かうした讚辞を耳にしただけでも、もう狐光....
親子」より 著者:有島武郎
発しながら、帳簿の不備を詰って、自分で紙を取りあげて計算しなおしたりした。監督が算盤を取りあげて計算をしようと申し出ても、かまいつけずに自分で大きな数を幾度も計....
最終戦争論」より 著者:石原莞爾
最後の決勝戦の時期に入り、五十年以内に世界が一つになるだろう。こういうふうに私は算盤を弾いた次第であります。 フランス革命は持久戦争から決戦戦争、横隊戦術から....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
、斜と構えて、帳面を引繰って、苦く睨み、 「升屋が懸はまだ寄越さんかい。」 と算盤を、ぱちりぱちり。 「今時どうしたえ、三十日でもありもせんに。……お師匠さん....
女客」より 著者:泉鏡花
三 「確か六七人もあったでしょう。」 お民は聞いて、火鉢のふちに、算盤を弾くように、指を反らして、 「謹さん、もっとですよ。八月十日の新聞までに、....
湯女の魂」より 著者:泉鏡花
着。」 「お疲れ様で。」 と下女共が口々に出迎えまする。 帳場に居た亭主が、算盤を押遣って 「これ、お洗足を。それ御案内を。」 とちやほや、貴公子に対する....
露肆」より 著者:泉鏡花
、上下縞に折目あり。独鈷入の博多の帯に銀鎖を捲いて、きちんと構えた前垂掛。膝で豆算盤五寸ぐらいなのを、ぱちぱちと鳴らしながら、結立ての大円髷、水の垂りそうな、赤....
」より 著者:犬田卯
いくらなんだ。」 「公定価額だよ」と唇を突出して言いながら、塚屋は懐中から小さい算盤を出して斜めにかざし、得意そうにぱちぱちと珠を入れた。 「そんな公定あるもん....
三枚続」より 著者:泉鏡花
銭、三十銭、可いかい。」 「へい、可うございます。」 愛吉は神妙に割膝で畏り、算盤を弾いている。間を隔てた帳場格子の内に、掛硯の上で帳面を読むのはお夏で、釣洋....
式部小路」より 著者:泉鏡花
くにしてかつ悄然たり。 「ほんとうに真面目ねえ、ああ、そう、酒気のない処で、ちと算盤でも持せて弱らしてやろうかな。」 と莞爾と笑み、はじめて瞳を座敷に転じて、....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
老舗の暖簾といわれおる。 椿岳の米三郎は早くから絵事に志ざした風流人であって、算盤を弾いて身代を肥やす商売人肌ではなかった。初めから長袖を志望して、ドウいうわ....