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箱入
「箱入〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
箱入の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「式部小路」より 著者:泉鏡花
、と台所へ持込んだけれども、お夏の心づけで、湯銭を持たせて、手拭を持たせて、錫の
箱入の薫の高いしゃぼんも持たせて、紫のゴロの垢すりも持たせる処だった。が、奴は陰....
「風波」より 著者:井上紅梅
事に通じていた。たとえばどこそこでは雷公が蜈蚣のお化けを劈き殺した。どこそこでは
箱入娘が夜叉のような子を産んだ。というようなことなど好く知っていた。彼は村人の中....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
於菟氏の「解剖台に凭りて」なり。合計九十五円。餅菓子を売る店を見ているうちに九ケ
箱入のものを買いたり。七十五円なり。 十一月二十七日 ◯夜来大雨。 ◯炬燵にて....
「心臓盗難」より 著者:海野十三
あって、一つのスキャンダルもない。強いて欠点をあげれば、彼安東はまるで徳川時代の
箱入娘のように気が小さすぎて、人前にもろくに口がきけず、況んや婦人に向いあうと、....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
ってかの子を二階のわたくしの書斎へ導いた。 雛妓は席へつくと、お土産といって折
箱入りの新橋小萩堂の粟餅を差し出した。 「もっとも、これ、園遊会の貰いものなんだ....
「恨みの蠑螺」より 著者:岡本綺堂
新奇の工夫をと案じた末に、思い付いたのが裸体美人の写生画で、それを立派に表装して
箱入りの贈り物にする。箱をあけて見て、これは妙案と感心させる趣向である。しかもそ....
「兜」より 著者:岡本綺堂
ほかはなかった。 「どうも普通の賊ではない。」と、勘十郎は言った。 床の間には
箱入りの刀剣類も置いてあったのに、賊はそれらに眼をかけず、択りに択って古びた兜ひ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
笑った。「そのときにお前が背中を流してやったか。容貌《きりょう》は好し、年ごろの
箱入り娘の肌ざわりはまた格別だからな。とんでもねえ粂《くめ》の仙人が出来上がった....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
八は駕籠を待たせてあるので、お先へ御免を蒙りますとことわって帰った。半七は途中で
箱入りの線香を買って、三人連れで大木戸へむかった。雨は幸いにやんだが、暗い夜であ....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
十太夫に念を押されて、二人の女は今更のようにおびえた。彼等は用心に用心を加えて、
箱入りの皿を土蔵の奥からうやうやしく捧げ出して来ると、十太夫は箱の蓋をあけて、十....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
出したのである。環境のせいか、不良じみて、放浪性も少しはある娘だったから、貴子は
箱入り娘の家出ほど騒がなかったが、しかしひそかに心当りは探してみた。そして空しく....
「夜光虫」より 著者:織田作之助
だって、東京にいた頃は、真面目な娘だったのよ。同性愛も出来ないくらい、コチコチの
箱入娘だったのよ。それが東京で焼け出されて一人で、大阪へ流れて来て……」 その....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
て青瓢箪に育て上げて、品物のようにのしをつけてよそにやりよったのです。船場の娘は
箱入娘と相場がついていたものです。それで男の子でもその流儀に育てるものですからよ....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
銅の糸印などもまじっている。蝋石の頭に獅子の鈕みを彫った印材のままのものがある。
箱入の唐墨がある。雌黄なんどの絵具類をまとめた袱紗包がある。そんなものが匣の大半....
「光は影を」より 著者:岸田国士
が南条を知らないように、南条もおそらく、真喜のことがわかつてないんだと思います。
箱入娘ぐらいに思つてるのかも知れませんよ」 「じや、どうすればいゝか、だ」 「ま....