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「築く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

築くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
註するまでもなく、異国の黒船防禦のために、幕府では去年の九月から品川沖にお台場を築くことになった。空前の大工事であるから、その費用もおびただしい。その財政の窮乏....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
分に噛みしめて見ることをせずに、逸早くこの観念を受け入れ、その上に各自の人生観を築く。この観念は私達の道徳の大黒柱として認められる。愛他主義の倫理観が構成される....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
なく、崔は郡の役人として評判がよかった。天統の末年に、彼は官命によって、河の堤を築くことになったが、その工事中、幕下のものに昔話をして、彼は涙をながした。 「こ....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
には一つの方法がある。それは手を拍って、大きな声で囃し立てるのである。 「長城を築く、長城を築く」 その声を聞くと、かれらは狼狽して山奥へ逃げ込むという。 ....
薬草取」より 著者:泉鏡花
零れていた。 手に一条大身の槍を提げて、背負った女房が死骸でなくば、死人の山を築くはず、無理に手活の花にした、申訳の葬に、医王山の美女ヶ原、花の中に埋めて帰る....
半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
藤を潜りながら、向うから声を掛けた。「どこへ行くだ、辰さん。……長塚の工事は城を築くような騒ぎだぞ。」「まだ通れないのか、そうかなあ。」店の女房も立って出た。「....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
それも縁であろう。越後|巫女は、水飴と荒物を売り、軒に草鞋を釣して、ここに姥塚を築くばかり、あとを留めたのであると聞く。 ――前略、当寺檀那、孫八どのより申上....
死者の書」より 著者:折口信夫
の、風水の相が、「まろこ」の身を招き寄せたのだろう。よしよし墓はそのまま、其村に築くがよい、との仰せがあった。其み墓のあるのが、あの麻呂子山だと言う。まろ子とい....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
れ、幾千幾万の家族は、相率いて不幸の谷底に蹴落され、大地の上は、至る所に屍の山を築く。しかも無理にその肉体からもぎ離されたる無数の魂は、何の用意も、教育も施され....
多神教」より 著者:泉鏡花
せます。…… 媛神 石垣を堅めるために、人柱と成って、活きながら壁に塗られ、堤を築くのに埋められ、五穀のみのりのための犠牲として、俎に載せられた、私たち、いろい....
詩語としての日本語」より 著者:折口信夫
めの翻訳は別として、今の場合日本の詩の新しい発想法を発見するために、新しい文体を築く手段として、そうした完全な翻訳文の多くを得て、それらの模型によって、多くの詩....
あゝ二十年」より 著者:上村松園
した三幅対「雪月花図」とは、今日までの私の長い画家生活中に、対照的な双つの高峰を築くものだと考えます。自分の口から申すのも変ですが、今度の「雪月花図」こそは、そ....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
ようと言うか。」 「勿論のことじゃ。わが弓矢の力で切り取ったこの国に、わが居城を築くがなんの不思議じゃ。今までここに棲んでいた主人というに免じて、おのれの命だけ....
年賀郵便」より 著者:岡本綺堂
当に見受けたのであるが、大正以後はめっきり廃れて、年末の郵便局には年賀郵便の山を築くことになった。 電車が初めて開通した当時は、新年の各電車ことごとく満員で、....
自由なる空想」より 著者:小川未明
ている。外的関係が、心までを萎縮するとはかぎらない。 現実の上に、真美の王国を築くことのできないものはこれを常に心の上で築くことである。芸術は、即ち、その表現....