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篭
「篭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
篭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「単独行」より 著者:加藤文太郎
に淋しい落葉の音もまれに、梢越しにははや雪が見え出してくるし、安曇野の村々には冬
篭りの用意ができ、どの家にも暖い炬燵が仕切られてくる。ちょうどそのころ六甲山から....
「ある遊郭での出来事」より 著者:若杉鳥子
た。 後できくと、ブツリ、ブツリという音は、客が愈々心中を実行する場合に、女を
篭の虫のように遁さない用心から、蚊帳の周囲を畳の目へ、釘で止めてゆく音だったとい....
「涼亭」より 著者:田中貢太郎
て入って来る。その一人の甲は、菰で包んだ量ばった四角な包を肩に乗せ、乙は小さな竹
篭を右の手に持っている。蒲留仙の眼はその旅人へといく。 蒲留仙 ああ、旅の方だね....
「成仙」より 著者:田中貢太郎
った。周はいった。 「僕は重い罪をきせられて、こんなに監獄に繋がれ、ちょうど鳥が
篭に入れられたようだし、弟はあっても年が若くて、ただ差入れをする位のことだけしか....
「王成」より 著者:田中貢太郎
え王成を当分ただで置くといった。王成は喜んで出かけていって、鶉を買えるだけ買って
篭に入れて帰って来た。主人は喜んでいった。 「それはよかった。ではすぐ売るがいい....
「嬰寧」より 著者:田中貢太郎
いわ。親類の間柄ですもの、兄さんがお帰りの時、老爺を呼んで来て、庭中の花を大きな
篭へ折らせて、おぶわしてあげますから。」 王はいった。 「馬鹿だなあ。」 嬰....
「促織」より 著者:田中貢太郎
た。令はそこでそれをまた里正に催促して献上さした。市中の游侠児は佳い促織を獲ると
篭に入れて飼い、値をせりあげて金をもうけた。邑宰はずるいので、促織の催促に名を仮....
「奥の海」より 著者:久生十蘭
ずしたうつろな声で、いきなりこんなことをいった。 「あまりの飢《ひだる》さに、塗
篭へ入って寝てみたが、夢ばかり見て眠りにならぬよ」 金十郎は廊ノ間の床に手を突....
「純情狸」より 著者:佐藤垢石
て泣き暮らしたのである。 人の歎きに用捨はせぬ。下僚は者共に命じ、小みどりを駕
篭に押し込めて、奉行所へ連れて行ってしまった。 逃走の虞れがあるというので、雀....
「海豚と河豚」より 著者:佐藤垢石
うである。そのうち名古屋河豚(小斎河豚)、目赤、虎河豚、黄金河豚、銀河豚、北枕、
篭目河豚などが普通知られている。 私らが、料理屋で食うのは虎河豚、名古屋河豚、....
「みやこ鳥」より 著者:佐藤垢石
にならべられて昔を偲ぶよすがもない。 明治二十年頃、言問の水上に、みやこ鳥の灯
篭流しをして満都の人気を集めた団子屋の主人もいま地下に感慨無量であろう。 ....
「水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
によれば、ビクトワールは毎朝、この共同椅子の前を通るはずであった。 やがて買物
篭を腕に抱えて、ビクトワールが遣って来た。見ると非常に昂奮して真蒼な顔をしている....
「青蛙神」より 著者:岡本綺堂
今の馬賊が落して行ったんでしょう。(李の手より受取って見る。)連発銃で、まだ弾が
篭めてあるらしい。これは証拠物だから保管して置かなければなりません。(卓の上に置....
「レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
日のあったばかりに、からりと様子がお変りなされ、気抜けしたような御心となり、閉じ
篭もってばかりおられました。(間)かと思うとまた近頃、あの女子をこの館へ引き入れ....
「長崎の鐘」より 著者:永井隆
とピンセットと、縫合針と、いくばくかの消毒薬と繃帯材料が、葦の葉であんだ買い出し
篭に入っているばかり。しかしながら我に頭脳があり、眼があり、手が備わっている。私....