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簀の子
「簀の子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
簀の子の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「蠅」より 著者:横光利一
まだなかなか出ぬじゃろか?」 猫背の馭者は将棋盤を枕にして仰向きになったまま、
簀の子を洗っている饅頭屋の主婦の方へ頭を向けた。 「饅頭はまだ蒸さらんかいのう?....
「涼味数題」より 著者:寺田寅彦
の寝椅子 涼しさや蚊帳の中より和歌の浦 水盤に雲呼ぶ石の影涼し 夕立や蟹這い上る
簀の子縁 したたりは歯朶に飛び散る清水かな 満潮や涼んでおれば月が出る 日本固....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
人に教えもし、自分にも信じている彼は、何の躊躇もなく脚をその上に運んだ。すると、
簀の子はめりめりとへし折れる音がして、客はころころと坑のなかに転げ込んだ。 異....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
隠居らしい切髪の婆様をじろりと見て、 (ヤヤ、難有い、仏壇の中に美婦が見えるわ、
簀の子の天井から落ち度い。)などと、膝栗毛の書抜きを遣らっしゃるで魔が魅すのじゃ....
「瘤」より 著者:犬田卯
が剥落して彼の辞職の主因をつくってしまった。その壁たるや、実に沼の葭を刈って来て
簀の子編みにしたものを貼りつけ、その上へ土を塗ったのであった。いかに村民が馬鹿の....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
が引返すでもなかった。家数四五軒、佗しい山間の村で、弁当を使った時、雨を凌いで、
簀の子の縁に立掛けた板戸に、(この家の裏で鳴いたり時鳥。……)と旅人の楽書がある....
「手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
なると布引であります。この町で出来る漆工品として特色の目立つのは長方形の茶盆で、
簀の子入りのものです。形もすっきりして使い工合も上々であります。土地ではこれを「....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
。 ぐわうという度に、寝小屋は、船のようにうごいた。 ――お甲は、白い足を、
簀の子にしのばせて、そっと、前の炉部屋へもどって来た。 炉の火を見つめて、考え....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
は、泥炉に、茶を煮て、待っていた。 庵はもちろん手狭だが、軒ばの木々の芽ざし、
簀の子(縁)に垂るる卯の花の朝露、清楚、眼を洗われるものがある。 この人は、母....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
かれると十四、五歳の童僕が、下にいて、 「お顔を洗い召されるか」 と、そこの竹
簀の子へ盥や手拭を供えて、うずくまった。 「ほ。金若だの」 「はい」 「そちだけ....
「柳生月影抄」より 著者:吉川英治
も思った。 (いやだ、ああいやだ。どうしてわしは、武芸の家などに生れたのだろう)
簀の子巻にした死骸を、海口へ捨てにでも行くらしい家来たちを追いかけて、大機の亡骸....
「木綿以前の事」より 著者:柳田国男
庄と並んで、山中の隠れ里として有名であった阿波の祖谷山などは、小民の家はみな竹の
簀の子で、あの頃はまだ夏冬を通して、このタフを着て住んでいるという話であった。タ....