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簡素
「簡素〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
簡素の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「野呂松人形」より 著者:芥川竜之介
《ひとえ》、燻《いぶ》しをかけたように、重々しく夕闇を破っている。――僕は、この
簡素な舞台を見て非常にいい心もちがした。
「人形には、男と女とあってね、男には、....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
西洋人が物質文明に耽溺しているのに、われらは数千年来の父祖の伝統によって、心から
簡素な生活に安んじ得る点である。日本の一万トン巡洋艦が同じアメリカの甲級巡洋艦に....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
である。投書の形にして毎日新聞文化部の久住氏へ送る。(なおこの際思いきって生活の
簡素化をはかれとも記した) 十二月三十一日 ◯一昨夜、敵三回目の空襲には油断が....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
え禅道はこれを実際的なものとした 第四章 茶室 茶室は茅屋に過ぎない――茶室の
簡素純潔――茶室の構造における象徴主義――茶室の装飾法――外界のわずらわしさを遠....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
、他の室と同じ英国貴族の邸宅に見るような花紋の浮彫りがしてあり、古代ギリシヤ型の
簡素な時計が一個、書籍を山積した大デスクの上壁に、ボタンで留めたようにペッタリと....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
プラーグと云うよりも、体躯の線は、バーデンバーデンのハンスヴルストに近いね。この
簡素な線には、他の人形には求められない無量の神秘がある。算哲博士が本格的な人形師....
「御萩と七種粥」より 著者:河上肇
私は注意してそれを避けねばならない。――私はこんな風に自分を警戒して居ながらも、
簡素な七種粥の饗応を、何んだか自分が軽く扱われた表現であるかの如く感ぜざるを得な....
「宇宙戦隊」より 著者:海野十三
服箱が一つ、壁には軍刀がかかっていた。あとは椅子が三つ四つあるばかりで、すこぶる
簡素で気持がよかった。 扉をたたく者があった。「おい」と、中尉が返事をすると、....
「死者の書」より 著者:折口信夫
あった。之に似た驚きの経験は曾て一度したことがあった。姫は今其を思い起して居る。
簡素と豪奢との違いこそあれ、驚きの歓喜は、印象深く残っている。 今の太上天皇様が....
「土俗玩具の話」より 著者:淡島寒月
の真味が宿っている事を知るべきである。アイヌの作った一刀彫の細工ものにも、極めて
簡素ではあるが、その形態の内に捨て難き美を含んでいるのである。 地方|僻遠の田....
「可能性の文学」より 著者:織田作之助
純粋戯曲というものを考えていた私は、戯曲は純粋になればなるほど形式が単純になり、
簡素になり、お能はその極致だという結論に達していたが、しかし、純粋小説とは純粋に....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
かったまま、何の苦しみもなく眠るがごとくこの世を去った。遺志により、葬式は極めて
簡素に行われ、また彼の属していた教会の習慣により、ごく静粛に、親族だけが集って、....
「大阪の可能性」より 著者:織田作之助
にざっと数えて三十ぐらいの意味に使えるほどの豊富なニュアンスはなく、結局京都弁は
簡素、単純なのである。 まるで日本の伝統的小説である身辺小説のように、
簡素、単....
「山越しの阿弥陀像の画因」より 著者:折口信夫
かき添え、下体を隠して居る点が、特殊なのである。謂わば一抹の山の端線あるが故に、
簡素乍らの浄土変相図としての条件を、持って来る訣なのである。即、日本式の弥陀浄土....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
れを菜にし、そして釜で煮えた乾米の湯漬けを秀吉主従に勧めるのでした。秀吉は、その
簡素で優雅な行き届いた利休の作法にむしろ呆れ果て、ただただ感嘆を続けつつ、饗応を....