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簷
「簷〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
簷の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
むし》ろ廃殿の中で眠った方が得策だ」と早速天幕を疊み、一同はまたもやゾロゾロと、
簷《のき》は傾き、壁板は倒れ、床は朽ちて陥込《おちこ》んでいる廃殿に上《のぼ》り....
「川中島合戦」より 著者:菊池寛
ていたので、板垣信形に諫められた位である。だから、武将中最も教養あり、その詩に、
簷外風光分外薪 |捲 孱願亦|有 一笑靄然|如 歌に、 さみだれに庭のやり水瀬....
「運命」より 著者:幸田露伴
えて、臣は天道を知る、何ぞ民心を論ぜん、と云いけるほどの豪傑なり。されども風雨|
簷瓦を堕す。時に取っての祥とも覚えられぬを、あな喜ばしの祥兆といえるは、余りに強....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
も、宿泊人の鼾がぐう/\、往来も大分静かになりますと、ボンボーン、ばら/\/\と
簷へ当るのは霙でも降って来たように寒くなり、襟元から風が入りますので、仰臥に寝て....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
聞があった。それらの使者がいずれも深い笠をかぶり、帯刀も捨て、自縛して官軍本営の
簷下に立たせられた姿は実にかわいそうであったとか。その時になると、白河口よりする....
「狼の怪」より 著者:田中貢太郎
で、しかたなしにここに寝ておりますものの、ゆっくり睡れないのですから、貴女の家の
簷の下でも拝借しましょう」 「では、お願いいたします」 章は立ちあがって猟袋を....
「荷花公主」より 著者:田中貢太郎
いりました」 彭はその声に顔をあげて見た。水仙廟の後ろと思われる山の麓に楼閣が
簷を並べていた。女を尋ねて毎日水仙廟のあたりから孤山の頂にかけて歩いていた彭は、....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
今の是を悟っている上から云えば、予も亦同じ帰去来の人である。春風は既に予が草堂の
簷を吹いた。これから予も軽燕と共に、そろそろ征途へ上ろうと思っている。 同じ年....
「王成」より 著者:田中貢太郎
で旅館へ入ったが、雨はますます強くざあざあと降りだして夜になってもやまなかった。
簷を見ると縄のような雨だれがかかっている。仕方なしに一泊して朝になってみると雨は....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
たしも言います――」鄒七嫂は息をはずませていた。 「太爺!」阿Qは薄笑いしながら
簷下に立っていた。 「阿Q、お前、だいぶんお金を儲けて来たという話だが」と趙太爺....
「白光」より 著者:井上紅梅
笑っている。これは只事でないからもう一度向うを見る気にもなれない。彼は少し離れた
簷下に身を躱してようやく落ち著きを得たが、この落ち著きの中にたちまちひそひそとさ....
「朱欒の花のさく頃」より 著者:杉田久女
くて花数もすくないが、膚橘の方はもみつけた様に花を咲きこぼす。もといた堺町の家の
簷にも一本夏みかんの木があって年々花をつけては塀外へこぼれるのを毎朝起きて掃くの....
「雪の宿り」より 著者:神西清
という塔の綿帽子が、言い合わせたように西へかしいでいるのでそれが分る。西向きの飛
簷垂木は、まるで伎楽の面のようなおどけた丸い鼻さきを、ぶらりと宙に垂れている。 ....
「竈の中の顔」より 著者:田中貢太郎
毎日困っておるところじゃで」 「では、復た明日お目にかかります」 僧はそのまま
簷下を離れて路へおり、夕陽の光の中を鳥の飛ぶように坂上の方へ登って往った。 「あ....
「父の出郷」より 著者:葛西善蔵
数株の梅の老木のほかには何一つなく清掃されている庭へ出て、老師の室の前の茅葺きの
簷下を、合掌しながら、もはや不安でいっぱいになった身体をしいて歩調を揃えて往った....