籠める[語句情報] » 籠める

「籠める〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

籠めるの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
河明り」より 著者:岡本かの子
がらつくづくこの娘に見惚れた。棕櫚の葉かげの南洋蔓草の花を見詰めて、ひそかに息を籠めるような娘の全体は、新様式な情熱の姿とでも云おうか。この娘は、何かしきりに心....
雛妓」より 著者:岡本かの子
を採りはじめる。木の芽やら海胆やら、松露やら、季節ものの匂いが食卓のまわりに立ち籠めるほど、わたくしはいよいよ感傷的になった。十八年の永い間、逸作に倣ってわたく....
神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
」と考えた集五郎、相手が「釣手《つりて》」で退くとも知らず、ムッと気息、腹一杯、籠めると同時に躍り込んだ。両肘を延ばし、太刀を上げ目差すは小一郎の右の肩、そいつ....
天守物語」より 著者:泉鏡花
威のある、姫君。――貴方にはお答が出来かねます。 夫人 いえ、いえ、かどだてて言籠めるのではありません。私の申すことが、少しなりともお分りになりましたら、あのそ....
野道」より 著者:幸田露伴
て、田舎道を市川の方へ行いた。 菜の花畠、麦の畠、そらまめの花、田境の榛の木を籠める遠霞、村の児の小鮒を逐廻している溝川、竹籬、薮椿の落ちはららいでいる、小禽....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
、又産土神様を礼拝し、今日一|日の任務を無事に勤めさせて下さいますようにと祈願を籠めることにしました。不思議なことにそんな場合には、いつも額いている私の頭の上で....
宝島」より 著者:佐々木直次郎
なかったのだから、恐らく火薬を浪費しただけであったろう。それから吾々はまた弾丸を籠めると、可哀そうなトムに注意を向けた。 船長とグレーとがすでに彼の傷を調べて....
生あらば」より 著者:豊島与志雄
ぐであろう。然しまたすぐに以前の整然たる形を取って、その下に陥った者を永久に閉じ籠めるに違いない。壮助は今迄の僅かな経験に於て、その網の目にしっかりとつかまって....
開運の鼓」より 著者:国枝史郎
一 将軍家斉の時代であった。天保の初年から天候が不順で旱天と洪水とが交※道に横たわり死骸から発する腥い匂いが空を立ち籠めるというありさまであった。 上野広小路に救い小屋を設けて、幕府では貧民を救....
鵞湖仙人」より 著者:国枝史郎
私が、それに気が付いたかと申しますに、彼等が歌をうたう時、頭と尻とへ特別に、力を籠めるからでございました。……で、恐らくお屋敷内の便所の下に古武将の柩が、埋めて....
二十歳のエチュード」より 著者:原口統三
*104 僕はつねに、現在、立っている場所から始める。そして次の一歩に誠実さを籠めることだ。 *105 予定を拒絶すること。安定地帯を探るのは、精....
一ノ倉沢正面の登攀」より 著者:小川登喜男
ロープを引緊めたまま言葉もない。濡れそぼるままに懸崖に寄り添って、身のまわりを立籠める灰色の霧を見詰めていると、何かしら無限の彼方に吸込まれるような無気味な感が....
神仙河野久」より 著者:田中貢太郎
教わっても覚えられなかった。某人が「安芸の厳島の弁財天へ、火のものを絶って祈願を籠めると、必ず覚えがよくなる」と云って教えた。尊は十二三であった。彼はその詞を信....
黒田如水」より 著者:吉川英治
お移り遊ばすのですか」 「花隈城へ」 「ではまた、わたくしの身も、その花隈へ押し籠めるおつもりでしょう。それなら同じこと、室はここにおります」 「いや、兵庫まで....