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「粉黛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

粉黛の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
コーヒー哲学序説」より 著者:寺田寅彦
にはむしろはなはだ必要であったのである。三時か四時ごろのカフェーにはまだ吸血鬼の粉黛の香もなく森閑としてどうかするとねずみが出るくらいであった。コンディトライに....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
てる。 翌日嵐山、金閣寺を見物して、クラシックの匂いを慕って奈良に回ったが綺羅粉黛人跡繁くして駄目であった。ただ大仏に対して何だか色のない尊い恋というようなも....
思想としての文学」より 著者:戸坂潤
されるのであって、そのためには孤立を守るためにしか役立たないようなアカデミカルな粉黛や僧侶階級的な密儀などは之をはたき落して、文化をキャッシュに換算することが批....
世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
ではない。今日の大部分の曖昧思想家や曖昧文士のアラ・モードの意匠が之なのであり、粉黛が之なのである。だがこの粉黛こそは却って、日本なる彼女の愛嬌を著しく殺減する....
荘子」より 著者:岡本かの子
彼女は生れつきの娥※靡曼に加えて当時ひそかに交通のあった地中海沿岸の発達した粉黛を用いていたので、なやましき羅馬風の情熱さえ眉にあふれた。 彼女の驕慢も早....
三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
邸近く住っていたので、度々島田夫人と途中で行逢った。今なら女優というような眩しい粉黛を凝らした島田夫人の美装は行人の眼を集中し、番町女王としての艶名は隠れなかっ....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
丸の船出ゆえに、別れの宴を酌むのである」 晴々としていいつけた。 白々とした粉黛の顔に、パッと桃色の灯をうけながら、十四、五人の侍女たち、皆一つずつの燭台を....
三国志」より 著者:吉川英治
塢城にもあまた佳麗はいるが、貂蝉のようなのはいない。もし貂蝉が一笑したら、長安の粉黛はみな色を消すだろう」 「太師には、そんなにまで、貂蝉がお気に入りましたか」....
増長天王」より 著者:吉川英治
、おそろしく華麗な部屋に、南蛮渡りの縞衣を着て、厚い衾の上に大胡坐をかいていた。粉黛の粧い凝らした美女が、彼の瘤のように厚い肩の肉を揉んでいる。また一人の美女は....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
だろう。この豊原一の宏壮な旅館だからかとも思ったが、まるで芸妓のような美服を著、粉黛している。内地の何処の旅館に泊ったってこんな事はない。一々嬌笑する。この家の....