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「粗い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

粗いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
《ようかんいろ》の背広を着て、体操に使う球竿《きゅうかん》のような細い脚を、鼠の粗い縞のズボンに通している。縁《ふち》の広い昔風の黒い中折れの下から、半白《はん....
婦系図」より 著者:泉鏡花
は驚いて退った。 来たのは院長、医学士河野理順である。 ホワイト襯衣に、縞の粗い慢な筒服、上靴を穿いたが、ビイルを呷ったらしい。充血した顔の、額に顱割のある....
親子」より 著者:有島武郎
百二十七町四段歩なにがし……これだけの坪敷になるのだが、そのとおりですな」 と粗い皺のできた、短い、しかし形のいい指先で数字を指し示した。 「はいそのとおりで....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
所にはいるうしろ姿が見えた。 誰れにでもああだろうと思うと、今さらのようにあの粗い肌が連想され、僕自身の身の毛もよだつと同時に、自分の心がすでに毛深い畜生にな....
河明り」より 著者:岡本かの子
私の肉体は盛り出した暑さに茹るにつれ、心はひたすら、あのうねる樹幹の鬱蒼の下に粗い歯朶の清涼な葉が針立っている幻影に浸り入っていた。 そのとき娘が「あらっ!....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
とかいう身分の人の住居であったろう。ともかくも一軒建てになっていて、小さい庭には粗い竹垣が結いまわしてあった。 Kのおじさんは役所から帰って、もう夕飯をしまっ....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
ゅ、その娘が、その声で。……淡い膏も、白粉も、娘の匂いそのままで、膚ざわりのただ粗い、岩に脱いだ白足袋の裡に潜って、熟と覗いていたでしゅが。一波上るわ、足許へ。....
流線間諜」より 著者:海野十三
ものかと唇をグッと噛み、右手をあげて天井を撫でまわした。すると指先にザラザラした粗い鉄格子が触れた。空気がその格子から抜けているのだった。 鉄格子ならば、これ....
軍用鼠」より 著者:海野十三
トキョトしている具合や、口吻がなんとなく尖って見え、唇の切れ目の上には鼠のような粗い髯が生えているところが鼠くさいと感じたことがあった。今やその秘密が解けたので....
」より 著者:池谷信三郎
すが、と言った。 すっかり着こむと、彼は見違えるほどシャンとして、気持が、その粗い縞のズボンのように明るくなってしまった。階下にいる家内にちょっと見せてくる、....
桃のある風景」より 著者:岡本かの子
のが、彼に対して憐れに気の毒であった。 茶店の床几で鼠色羽二重の襦袢の襟をした粗い久留米絣の美少年の姿が、ちらりと動く。今日は彼は茶店の卓で酒を呑んでいるのだ....
星女郎」より 著者:泉鏡花
|諷する心持もあったんですね。 直ぐには答えないで、手捌きよく茶を注いで、 (粗いんですよ。) と言う、自分の湯呑で、いかにも客の分といっては茶碗一つ無いら....
夢のお七」より 著者:岡本綺堂
引っ返した。雨にまぎれて足音をぬすんで、かの農家の横手にまわって、型ばかりの低い粗い垣根を乗り越えて、物置小屋へ忍び込んだ。雨の日はもう暮れかかっているのと、母....
五色蟹」より 著者:岡本綺堂
かった。かれらの占領している二間は下座敷のどん詰まりで、横手の空地には型ばかりの粗い竹垣を低く結いまわして、その裾には芒や葉鶏頭が少しばかり伸びていた。かれらが....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
。生まれてから初めて見た「赤松満祐」の渥美五郎や、この三浦荒次郎や、こうした強い粗い芸風がわたしの小さい頭脳に深い感銘を刻み込んでいて、知らず識らずの間にわたし....