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粘い
「粘い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
粘いの前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「俊寛」より 著者:菊池寛
よりもはるかに秀れていた。木の枝を、横にいくつも並べて壁にした。そして、近所から
粘い土を見出して、その上から塗抹した。彼は、この新しい家を建てるために、二十日ば....
「蒲団」より 著者:田山花袋
なく、夥しい泥痕! 「何アに、其処でちょっと転んだものだから」 「だッて、肩まで
粘いているじゃありませんか。また、酔ッぱらったんでしょう」 「何アに……」 と....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
があろう、幹の皮は、皺だらけで、永年洗い落したことのない垢……青苔が、厚くこびり
粘いている。夜になると、この筋の根に、一本一本神経が入って大手を振って、のさり、....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
水にひたしている、水はその爪先を綺麗に洗って流れて行く、ノキシノブの、べったりと
粘いた、皺の皮がたるんだ桂の大木や、片側道一杯に、日覆いになるほどに、のさばって....
「自画像」より 著者:寺田寅彦
した絵の具のなまなましい光とにおいは強烈に昔の記憶を呼び起こさせた。長い筆の先に
粘い絵の具をこねるときの特殊な触感もさらに強く二十余年前の印象を盛り返して、その....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
うに地べたに倒れた頭のそばにモルヒネの瓶が転がっていた。青ざめた顔、土色の唇から
粘いガラス色の液を垂れてふっくふっく息を吐いていた。私は手を握ってみたらまだ温か....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
ろは、藤の花の匂う弘徽殿ノ渡殿にこの黒髪もさやかであろうと思うにつけ、妃たちは、
粘い汚れ髪に触ってみては、女同士で、 「髪を洗いたい……」 と、口癖に言いあっ....