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粘る
「粘る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
粘るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
を男の体臭が絞り出すような夏の夜の踊りに、体の固い若いダンサーのステップもいつか
粘るのだった……。 そんなホールの中へ、こおろぎが一匹、何にあこがれたのか、さ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
うな一種の不安を感じさせた。おまけに其の晩は蒸し暑かったので、かれの額や首筋には
粘るような気味の悪い汗がにじみ出した。お蝶は長い紅い総のついている枕のうえに、幾....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
常に沾《ぬ》れ粘ったものと信ずるが、これその鱗が強く光るからで、実際そんなに沾れ
粘るなら沙塵が着き、重《おも》りて疾く走り得ぬはずでないか。その足に関する謬見は....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
、一番珍重さるるはその実で外部木質、内に少し酸《す》く冷やかな軟肉ありてゴム様に
粘る。その大きさ瓢《ひょう》のごとし。生食してすこぶる旨く、その汁を搾って砂糖を....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
した。頸と言わず、肩と言わず、降りかかって来ましたが、手を当てる、とべとりとして
粘る。嗅いでみると、いや、貴僧、悪甘い匂と言ったら。 夜深しに汗ばんで、蒸々し....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
よ。私たちの作家としての存在そのものが、現在にあっては抗議的存在です。作家として
粘ること自体がいかがわしい文学の潮流に対してのプロテストであり、今日もし私たちが....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
してもいいと仰云るのが明日あさってと思うものですか。でも、私はなかなかその点では
粘るから、きっとやがて三等賞ぐらいには漕ぎつけるつもりです。どうぞそのときはよろ....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
リシーズ」の作者)が十四年目に長篇の完成を公表している。あんな連中でさえそれだけ
粘る。心からそう思いました。いつか書いた、「チボー家の人々」マルタン・デュ・ガー....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
かきましたものね。あのときは一切人に会わずで。私たちにそれは出来ないが、しかし、
粘るところは、ざらにない力です。そういうところのよさは学ばなければ。蓼科へ行って....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
するような鬼気を覚えるであろう。二人が寂光庵に着いた頃は、恰度雷雨の前提をなす、
粘るような無風帯の世界であった。が、入るとすぐに普光尼を呼んだ。然し、法水だけは....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
は美男蔓《ビナンカズラ》の名がある。これにこんな名のあるのはその嫩の枝蔓の内皮が
粘るから、その粘汁を水に浸出せしめて頭髪を梳ずるに利用したからである。これは無論....
「夜寒に火を囲んで懐しい雑炊」より 著者:北大路魯山人
が、普通に納豆を食べる場合と同じように、醤油、辛子、ねぎの薬味切を加えて、充分|
粘るまでかき混ぜたものを入れるとよい。雑炊の上から煎茶のうまいのをかけて食べるの....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
たりする様子がないからである。 武蔵は歩いている。 それも極めて、一足一足、
粘る土でも踏んでいるように、やわらかな若草の崖を、少しずつ、しかし――いつ鷲のご....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
た片足は、持ち上げるたびに、全身の力を要した。――そのため紅い唇や、蜂蜜のように
粘る手や、甘酢い髪の毛のにおいやらが、すぐ頭から去って、彼は、常の彼の身に回って....
「木綿以前の事」より 著者:柳田国男
ある。モチの米という名はすでに『和名鈔』にも見え、モチという言葉は鳥黐も同じに、
粘ることを意味したようだが、それだからとて今と同じ餅が、古くからあったとはかぎら....