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粧う
「粧う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
粧うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
、素人の私が怪我人の枕許に居たとて貴方のお手伝いも出来ませず」と非常に当惑の体を
粧うて云うた。彼は少し考え「貴方は別に荷物などを彼の家へ残しては有りませんか」勿....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
去らなかった。海に投げ込んだ草履の片足を半七に発見された時に、彼女は自分の潔白を
粧うために、わざとお駒の物であることを証明したが、どうもそれでも落ち着いていられ....
「琥珀のパイプ」より 著者:甲賀三郎
見はその宝石を見つけ、悪心を起し、突差に敷物の下かなんかに秘した、そうして仮死を
粧うていたに違いありません。新聞で宝石の紛失を知った賊は、岩見の所為と見たでしょ....
「惜別」より 著者:太宰治
葉汐風に吹きたわめて、屈曲おのずからためたる如し。そのけしき※然として美人の顔を
粧う。ちはやぶる神の昔、大山つみのなせるわざにや。造化の天工、いずれの人か筆を揮....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
塗りこんだ。 ミチミはいきいきと生きかえったように見えた。真赤な長襦袢と、死化
粧うるわしい顔とが互に照り映えて、それは寝棺のなかに横たわるとはいえ、まるで人形....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
た。 これより前、姿見に向った裸の児が、濃い化粧で、襟白粉を襟長く、くッきりと
粧うと、カタンと言わして、刷毛と一所に、白粉を行燈の抽斗に蔵った時、しなりとした....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
みると、「繊々たる初月」というのも自然の夕空の新月のことではなくして、その黄粉を
粧うた美人の額の上に描かれた眉の形容であることを知るに及んで、漫然たる最初の想像....
「魔王物語」より 著者:田中貢太郎
寝ていろいろな話をしていた。 雨はしめやかに降っていた。気の弱い新八郎は平気を
粧うて平太郎と話をしているものの、心では妖怪に怖れを抱いていた。で、何かがさがさ....
「話の種」より 著者:寺田寅彦
ックリ胸にこたえる事があると器械の鏡から反射する光線がピクリと動く。いくら平気を
粧うて胡麻化そうとしても駄目だという事である。この器械がいよいよ成効するかどうか....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
中では、プロス嬢を、天質と人工との両方によって彼女とは比べものにならぬほど美しく
粧うている、テルソン銀行に預金を持っている多くの淑女たちよりも、下級の天使たちに....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
って、いつとはなしにその領分をひろげて行った。その当時の彼らは、努めて書生らしく
粧うために、多くは紺飛白の衣類を着て、兵児帯をしめて、筒袖の羽織などを襲ねていた....
「六号室」より 著者:瀬沼夏葉
なる。門の呼鈴が鳴る度に惴々しては顫上る。巡査や、憲兵に遇いでもすると故と平気を
粧うとして、微笑して見たり、口笛を吹いて見たりする。如何なる晩でも彼は拘引される....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
|籠めし言葉をわざとごくごく軽うしてしもうて、どこまでも夫の分別に従うよう表面を
粧うも、幾らか夫の腹の底にある煩悶を殺いでやりたさよりの真実。源太もこれに角張り....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
ガに達し、マッセナに命令するにボルトリを軽々に撤退する事無く、かえって兵力増加を
粧うべき事を命令した。蓋しナポレオンは墺軍の前進を知り、なるべくこれを東方に牽制....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
に聞えるようだ、暗い不安の影は幻のように消えて跡もない。山稜はいつか草と偃松とを
粧うた高原状の緩い斜面となって、眼の前にポーッと雪田が顕われる、雷鳥が一羽それを....