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精悍
「精悍〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
精悍の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
を妻にくれという章三の言葉は、鉱三を驚かせたが、しかし、小切手を背景にした章三の
精悍な顔と、押しの強さは、鉱三の青年時代を想わせて、満更でもなかった。難になる家....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
をまだ越えたばかりの痩形の男で、顔の色はやや蒼白いが、この頃の殿上人には稀に見る
精悍の気がその鋭い眼の底にあふれていた。彼はわざと拗《す》ねたのであろう、きょう....
「船医の立場」より 著者:菊池寛
があったが、目は細く光って眦《まなじり》が上り、鼻梁《はなばしら》が高く通って、
精悍《せいかん》な気象を示したが、そのげっそりと下殺《しもそ》げした頬に、じりじ....
「忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
る姿ではあるが、その炯々《けいけい》たる瞳はほとんど怪しきまでに鋭い力を放って、
精悍の気眉宇の間に溢れて見えた。 忠直卿は、今微酔の回りかけている目を開いて、....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ダネックも、さすがその日はぐったりしていた。彼は、アメリカに籍はあるがチェコ人。
精悍《せいかん》、不屈の闘志は面がまえにも溢れている。三十代に、加奈陀《キャナデ....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
、マルクスや、レーニンにむしろ同じるな。」「そうでしょうとも、あなたには、何処か
精悍な歯があるわ。」「で、あなたは『種蒔く人』に何を話しましたか。」「私は大方|....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
あいて若い男が姿を現わした。一見、黒白混血児とわかる浅黒い肌、きりっとひき締った
精悍そうな面がまえ、ことに、肢体の溌剌さは羚羊のような感じがする。 ジョジアス....
「爆薬の花籠」より 著者:海野十三
いつもかわいそうで仕方のなかったその曾呂利が、ここで一変して、アラビヤ馬のような
精悍な青年探偵帆村荘六になったのである。もうこうなったうえは、彼のため、房枝は胸....
「空襲下の日本」より 著者:海野十三
は、遂に飾りものに終ったらしい。愛国機や愛国高射砲を献納した国民は、勇敢に戦った
精悍な帝国軍人と共に、永く永く讃えられるべきだ。わが帝都のこれくらいの損害や、一....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
ーラは、彼の艶々しい髪の毛に魅せられてしまったのだ。 海気に焼け切った、横蔵の
精悍そのもののような顔――鋭く切れ上がった眥、高く曲がった鼻、硬さを思わせる唇に....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
る色もなく、椅子を引き寄せた。彼はずんぐりとした胴に牡牛のような頸を載せていて、
精悍そうな、それでいて、妙に策のありそうな四十男だった。 「何しろ小保内には、照....
「四月馬鹿」より 著者:織田作之助
ないのは、むろん不精からだろうが、それがかえって油断のならない感じかも知れない。
精悍な面魂に欠けた前歯――これがふと曲物のようなのだ。いずれにしても一風変ってい....
「春」より 著者:岡本かの子
いるが、中部の枝には満開の生き生きした花が群がり、四月下旬の午後になったばかりの
精悍な太陽の光線が、斜めにその花の群りの一部を截ち切っている。 京子は椿の枝の....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
あるように思っていた。ステップニャツクの肖像や伝記はその時分まだ知らなかったが、
精悍剛愎の気象が満身に張切ってる人物らしく推断して、二葉亭をもまた巌本からしばし....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
その轍を踏んでいたのであろう。そうして一面には頗る覇気に富んでいたらしく、一種|
精悍の気がその風貌に漲っていた。かれは文学の素養もあって、その当時の海軍大尉小笠....