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糸巻
「糸巻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
糸巻の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
のかみさんは旅の着物のほころびでも縫えと言って、紅白の糸をわざわざ亭主と二人して
糸巻に巻いて、それに縫針《ぬいばり》を添えて岸本に餞別《せんべつ》としたほど細《....
「オシャベリ姫」より 著者:かぐつちみどり
ム。それは不思議なことだな」 「まだ不思議なことがあるのです。その糸を巻きつけた
糸巻きがだんだん大きくなって来ますと、その糸の光りで室中が真昼のように明るくなり....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
きながら、日光大法会のうわさをしたり、水戸浪士のうわさをしたりしている。おまんは
糸巻きを手にしている。お民は山梔色の染め糸を両手に掛けている。おまんがすこしずつ....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
。 年のころ四十ぐらいの品のいい丸髷に結った母親が、裁物板を前に、あたりに鋏、
糸巻き、針箱などを散らかして、せっせと賃仕事をしていたが、障子があいて、子息の顔....
「白椿」より 著者:海若藍平
て、押しこんだいたずら書きの紙屑や糸くずをちゃんと展ばして、紙は帳面に作り、糸は
糸巻きに巻きました。その間のちえ子さんの極りのわるさ! 消えてしまいたい位でした....
「放浪の宿」より 著者:里村欣三
を引き※られたままで、ぐるりと羽二重餅のような*******修理婦が、そこら中に
糸巻きや針や鋏などを一面に投げ散らして、あがき喚めきたてながら、***の黒眼鏡に....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
は、可厭、可厭…… 幼い同士が威勢よく唄う中に、杢若はただ一人、寒そうな懐手、
糸巻を懐中に差込んだまま、この唄にはむずむずと襟を摺って、頭を掉って、そして面打....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
かね。」 「いいえ、あら、そう……おじさんは、ご存じないわね。 ――糸塚さん、
糸巻塚ともいうんですって。 この谷を一つ隔てた、向うの山の中途に、鬼子母神様の....
「三輪の麻糸」より 著者:楠山正雄
針がついたまま戸の鍵穴を抜けて、外へ出ていました。そして麻糸が引かれるにつれて、
糸巻はくるくるとほぐれて、もう部屋の中にはたった三まわり、輪になっただけしか、糸....
「少年・春」より 著者:竹久夢二
へ帰って来る時には、もう見るかげもなく汚れているのでした。そこで例によって、それ
糸巻はどこにある? 糸は? 針は? という騒ぎが始まるのです。 夏の朝、母様は....
「かくれんぼ」より 著者:斎藤緑雨
調わぬが例なれど舟を橋際に着けた梅見帰りひょんなことから俊雄冬吉は離れられぬ縁の
糸巻き来るは呼ぶはの逢瀬繁く姉じゃ弟じゃの戯ぶれが、異なものと土地に名を唄われわ....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
となりを知るべきである。 京伝と仲たがいした真因は判然しないが、京山の『蜘蛛の
糸巻』、馬琴の『伊波伝毛之記』および『作者部類』を照らし合わしてみると、彼我のい....
「家長の心配」より 著者:カフカフランツ
てそんな語源の研究にたずさわりはしないだろう。まず見たところ、それは平たい星形の
糸巻のように見えるし、また実際に糸で巻かれているようにも見える。糸といっても、ひ....
「灰色の姉と桃色の妹」より 著者:小川未明
どこか悲しいところがこもっていました。 妹は、唄にもあきてくると、懐から、紅い
糸巻きを出して、その糸を解いて、銀の棒で編みはじめていました。銀の棒は日の光にき....
「猪の味」より 著者:北大路魯山人
らいの棒状をなした肉を取り出して来て、それを一分ぐらいの厚さに切り出した。四角い
糸巻型に肉が切られて行く。その四角のうち半分ぐらい、すなわち、上部一寸ぐらいが真....