紅霞[語句情報] » 紅霞

「紅霞〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

紅霞の前後の文節・文章を表示しています。該当する6件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
錆びていたが、間もなく新鮮な今年の葉が、新緑を漲らせるに違いない。ところどころに紅霞があった。桃でなければ山桜であろう。 今、一団の山鳩が、竜巻のように舞い上....
鹿狩り」より 著者:国木田独歩
っていた猟師の一組を待ち合わせていた。 朝日が日向灘から昇ってつの字崎の半面は紅霞につつまれた。茫々たる海の極は遠く太平洋の水と連なりて水平線上は雲一つ見えな....
銅銭会事変」より 著者:国枝史郎
昌した。で悪人が跋扈した。 その悪人の物語。―― 梅が散り桜が咲いた。江戸は紅霞に埋ずもれてしまった。鐘は上野か浅草か。紅霞の中からボーンと響く。こんな形容....
三国志」より 著者:吉川英治
来を見まわしたが、もう姿は見えなかった。 蟠桃河の水は紅くなった。両岸の桃園は紅霞をひき、夜は眉のような月が香った。 けれど、その水にも、詩を詠む人を乗せた....
私本太平記」より 著者:吉川英治
道誉すら、高氏の飲み振りには、目をみはった程である。高氏は、ぼうと、おもてに紅霞をただよわせて、 「美味くてならぬ」 と、弾むのだった。 「あの頃とは、だ....
みずうみ」より 著者:室生犀星
膝の上に――眠元朗はその娘の髪の上に自分の手を置いて、悲しげに桃花村を罩めている紅霞をながめた。そういう父の眼に何が映ったか? 娘はただ凝乎としているばかりで、....