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納棺
「納棺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
納棺の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
しにぽろぽろ涙を落した。が、やはりふだんのように何とも口は利かなかった。
僕は
納棺《のうかん》を終った後にも時々泣かずにはいられなかった。すると「王子の叔母さ....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
気がすこし落着いたのは、それから十日ほど経ったのちのことだった。 真一の屍体は
納棺して密かに火葬場へ送って焼いた。その遺骨はお寺へ預けてしまった。ささやかなる....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
べく手厚く父を葬りたい。そのことを彼は伊之助の前でも言い、継母にも話した。やがて
納棺の用意もできるころには、東西の隣宿から泊まりがけで弔いに来る親戚旧知の人々も....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
して駈けつけた時、死骸の側には誰も居なかった。次郎さんは十六であった。
やがて
納棺して、葬式が始まった。調子はずれの讃美歌があって、牧師の祈祷説教があった。牧....
「宝石の序曲」より 著者:松本泰
師のように部屋の片隅で坐《すわ》っていた。 心ばかりの告別式が済んで、いよいよ
納棺するときが来た。するとみのりは不意に立ち上がって、泳ぐような手付きをしながら....
「百姓弥之助の話」より 著者:中里介山
分にはこの妙心派のお寺が近い隣地にあったものだからよくお葬式の行列を見たり、また
納棺最後まで態々《わざわざ》見届けに行った覚えがある。その時分は火葬ということは....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
い》を置いて、萩乃やお蓮さまや、代稽古峰丹波の手で、老先生の遺骸に湯灌を使わせて
納棺《のうかん》してある。
在りし日と姿かわった司馬先生は、経かたびら、頭巾、....
「明日」より 著者:井上紅梅
もなかった。 きのうは一串の紙銭を焼き、また午前中には四十九巻の大悲呪を焼き、
納棺の時にはごく新しい晴れ著を著せ、ふだん好きなおもちゃを添え――泥人形一つ、小....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
をはいたならマメやスレたあとがありそうなものだが、それが一ツもなかったのである。
納棺のとき、それに立ち会った者が気がついて、皆々首をひねったが、結論がでないので....
「白髪鬼」より 著者:岡本綺堂
不思議ともいえばいわれるのは、伊佐子さんの死骸の髪の毛が自然に変色して、いよいよ
納棺というときには、老女のような白い髪に変ってしまったことです。おそらく劇薬を飲....
「稚子法師」より 著者:国枝史郎
キ雑ぜた複雑の思いに浸り乍ら彼は合掌したのであった。 翌朝館へ駆着けた時は既に
納棺も済んでいた。昨夜の有様を披露した後、急いで厩舎へ走って行き、二頭の馬を索き....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
遺骸にはさっぱりした羽二重の紋附が著せてありましたが、それはお兄様の遺物でした。
納棺の時に、赤い美しい草花を沢山取って来て、白蝋のような顔の廻りを埋めたのが痛々....
「小山内薫先生劇場葬公文」より 著者:久保栄
山暁道師によって先生の戒名は「蘭渓院献文慈薫居士」と名づけられ、二十六日午後三時
納棺された。
納棺に先立ち、吉田久継氏が遺族の希望によってデスマスクを取った。二十....
「本朝変態葬礼史」より 著者:中山太郎
。そしてこの葬法は近年まで残っていた。石川県|羽咋《はくい》郡富永村では、死者を
納棺する際に藁縄、或いは白布を以て屍体を緊縛した。これを極楽縄と称し老人は自分で....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
急に死体を片づけた。 お爺さんは、死体が怖くてようさわらない。それで、市長自ら
納棺をすることにした。彼はお湯を沸かして死体を洗うて
納棺をすませ、お爺さんの要求....