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純一無雑
「純一無雑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
純一無雑の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文芸の哲学的基礎」より 著者:夏目漱石
かくのごとく自己の意識と作家の意識が離れたり合ったりする間は、読書でも観画でも、
純一無雑と云う境遇に達する事はできません。これを俗に邪魔が這入《はい》るとも、油....
「文芸と道徳」より 著者:夏目漱石
味の取り方で、いろいろになりますけれども、ここに云うのは仏語《ぶつご》などで使う
純一無雑まず混《まじ》り気《け》のないところと見たら差支《さしつかえ》ないでしょ....
「幻影の盾」より 著者:夏目漱石
彼の総身は盾になり切っている。盾はウィリアムでウィリアムは盾である。二つのものが
純一無雑の清浄界《しょうじょうかい》にぴたりと合《お》うたとき――以太利亜の空は....
「思い出す事など」より 著者:夏目漱石
の中に存在し得るや否やに至っては自《おのず》から別問題である。彼オイッケン自身が
純一無雑に自由なる精神生活を送り得るや否やを想像して見ても分明《ぶんみょう》な話....
「善の研究」より 著者:西田幾多郎
もった者でなければならぬ。真の意識統一というのは我々を知らずして自然に現われ来る
純一無雑の作用であって、知情意の分別なく主客の隔離なく独立自全なる意識本来の状態....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
の中に目的は吸い込まれてしまう。そこには何等の努力も義務も附帯してはいない。あの
純一無雑な生命の流露を見守っていると私は涙がにじみ出るほど羨ましい。私の生活があ....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
ている。氏のいわゆる知的直観は事実を離れたる抽象的一般性の真覚をいうのではない。
純一無雑なる意識統一の根底において、最も事実に直接なる、具体的なる認識作用である....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
た姫が今その選に入るのである。 因習から人を救解するには、その人自らが先だって
純一無雑な信念を持たねばならない。信の外に何があろう。信は智慧を孕んで、犠牲者の....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
複雑化し、一すじ縄で行かぬ人間に鋳直することで外界と順応することをせずに、外界を
純一無雑につくり直すことで、私と一致せしめようと試みているものだ。 これが私の....
「「生活」+「戦争」+「競技」÷0=能」より 著者:癋見鈍太郎
それが練達洗練された三昧に入っている所作である限り……その心境がその仕事に対して
純一無雑である限り……そこに能楽の型と同じ真実味の横溢した「人間美」が後光を放っ....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
家のため、社会のため、当面の職務に誠意を尽して行く、これ仏教の全修業である。この
純一無雑の生活、すなわち仏法を説いたのが法華経はじめ他の二経の精神であります。か....
「それから」より 著者:夏目漱石
から何故自然に抵抗したのかと思った。彼は雨の中に、百合の中に、再現の昔のなかに、
純一無雑に平和な生命を見出《みいだ》した。その生命の裏にも表にも、慾得《よくとく....