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紙屑
「紙屑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
紙屑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「河童」より 著者:芥川竜之介
両腕を胸へ組んだまま、苦い顔をしてすわっていました。のみならずそのまた足もとには
紙屑《かみくず》が一面に散らばっていました。ラップも詩人トックといっしょにたびた....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
冬の夜更などに、銀座通りを御歩きになって見ると、必ずアスファルトの上に落ちている
紙屑が、数にしておよそ二十ばかり、一つ所に集まって、くるくる風に渦を巻いているの....
「星座」より 著者:有島武郎
いた。そこいらには煙草の吸殻や、菓子の包んであったらしい折木《へぎ》や、まるめた
紙屑や、欠けた瀬戸物類が一面に散らばっていた。柿江はその一つずつに物語を読んだ。....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
惜むにも当らない。この筆法をもってすれば、情婦から来た文殻が紛込んだというので、
紙屑買を追懸けて、慌てて盗賊と怒鳴り兼ねまい。こちの人|措いて下さんせ、と洒落に....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
一部を新円で、他を封鎖小切手でくれるところもある。何千円也の封鎖小切手を貰っても
紙屑同様にて一向ありがたみが感ぜられないのに対し、たとえ百円なりでも新円を貰うと....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
や腰掛、ブリキの湯沸し、セメント樽、煉瓦石、材木の端片、ビールの空壜、蜜柑の皮、
紙屑、縄切れ、泥草履と、塵溜を顛覆返したように散乱ってる中を煤けた顔をした異形な....
「五色温泉スキー日記」より 著者:板倉勝宣
箱のような人間の家が軒と軒とをくっつけてくしゃくしゃにかたまった胸の悪い光景も、
紙屑によごれた往来も、臭い自動車もそんなものは影も形もなく消えうせている。夜中の....
「独本土上陸作戦」より 著者:海野十三
十一時まで、通計五時間……」 将軍は、苦り切って、その報告で洟をちんとかむと、
紙屑籠へ投げこんだ。 「金博士は、地酒窟ランタンに現れ、午後十一時十五分……」 ....
「宇宙戦隊」より 著者:海野十三
驚くべき事件が起ったからであった。 もちろん警察飛行隊はすぐ出動して、嵐にまう
紙屑のように、天空に吸いあげられていく町の人々や、木や、家や、牛や、馬や、犬など....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
める為に銀座の或本屋へ出かけることにした。 冬の日の当ったアスファルトの上には
紙屑が幾つもころがっていた。それらの
紙屑は光の加減か、いずれも薔薇の花にそっくり....
「幸福な家庭」より 著者:井上紅梅
だから向うへ行って一人でお遊び」 彼は子供を推しのけながら、紙を丸めて力任せに
紙屑籠の中に抛り込んだ。 彼は子供にも、フイと飽き足らなくなったが、重ねてまた....
「おびとき」より 著者:犬田卯
かったのである。 炉辺に投げ出してある夫の財布を倒まにして見たが、出て来たのは
紙屑のもみくしゃになったものばかりだった。「お前ら、三十銭ばかりも持っていねえの....
「銀座の朝」より 著者:岡本綺堂
夏の日の朝まだきに、瓜の皮、竹の皮、巻烟草の吸殻さては
紙屑なんどの狼籍たるを踏みて、眠れる銀座の大通にたたずめば、ここが首府の中央かと....
「蛇性の執念」より 著者:大倉燁子
の机の上に俯伏したまま、冷たくなっている文夫さんが発見されたのは。 机の右側の
紙屑籠の中から見出された注射器と、空になったアンプレの四五本と、左の手首に赤くは....
「恐怖の幻兵団員」より 著者:大倉燁子
うなものをつくり、徒然を慰め合っていた事がありました。その時、夫は小さく丸るめた
紙屑が床に落ちていたのを見たのです。拾って、ひろげて見ると、このグループの一人が....