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「紛擾〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

紛擾の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
きを取るのをはなはだしく不快に思っているようです。岡君は人にもらし得ない家庭内の紛擾《ふんじょう》や周囲から受ける誤解を、岡君らしく過敏に考え過ぎて弱い体質をま....
恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
りに御滞在なされませ」と、石工の棟梁は、穏やかな口調でいった。 市九郎は、この紛擾《ふんじょう》が無事に解決が付くと、それによって徒費した時間がいかにも惜しま....
食魔」より 著者:岡本かの子
幼くして父を失った。母親は内縁の若い後妻で入籍して無かったし、寺には寺で法縁上の紛擾があり、寺の後董は思いがけない他所の方から来てしまった。親子のものはほとんど....
運命」より 著者:幸田露伴
ならざれば、門は塞がりたり。前者は出づることを得ず、後者は急に出でんとす。営中|紛擾し、人馬|滾転す。燕兵急に之を撃って、遂に営を破り、衝撃と包囲と共に敏捷を極....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
多少聞いたこともあるが、そんなことをここで君に話そうとは思わない。ただ、祭以前に紛擾を重ねたと言うだけにして置こう。一時は祭をさせるとか、させないとかの騒ぎが伝....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
山口論ということを約めて、「山論」という言葉で通って来たほど、これまでとてもその紛擾は木曾山に絶えなかった。 銭相場引き上げ、小判買い、横浜交易なぞの声につれ....
新世帯」より 著者:徳田秋声
し食べ酔って管を捲いたくらいで、九時過ぎに一同無事に引き揚げた。叔母と兄貴とは、紛擾のなかで、長たらしく挨拶していたが、出る時兄貴の足はふらついていた。新吉側の....
足迹」より 著者:徳田秋声
っかけて、火鉢の傍に縮まっていた。 「どうしたというんだろう。」と、母親は会社の紛擾から引き続いて、心配事ばかり多い弟の体を気遣った。 「なあに感冒だ。ヘブリン....
」より 著者:徳田秋声
六畳の方へ持ち込むと、四ツ谷で聞いて来たといって、先に縁づいていた家の、その後の紛擾などを話して蒼くなっていた。お銀が逃げて来てからも、始終跡を追っかけまわして....
」より 著者:徳田秋声
もう縁談がきまったの。」 お今のことがまだ思い断れずにいる、その男の縁談のまだ紛擾いている風評などが、お今の耳へも伝わっていた。 四十一 婿に定め....
続獄中記」より 著者:大杉栄
って来て煮湯を監房の中に注ぎこむ、囚人等は布団をかぶってそれを防ぐ。というような紛擾の後に、とうとう渡辺は典獄か看守長かの室に談判に行くことになった。そこで数名....
地獄の使」より 著者:田中貢太郎
る離縁すると云っていた。その詞がお婆さんの耳に蘇生っていた。 何時かも己の里に紛擾が起ったので、それへ往っていて夜になって帰って来ると、膳|前の酒を一人で飲ん....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
気持をいだきながら、その日になるのを待っていた。彼が心中ひそかに、そうした家庭の紛擾《ふんじょう》に、なんとかしてけりがついてくれればと、ひたすらそれを気づかっ....
新たな世界主義」より 著者:豊島与志雄
さえも持たない。中国はその広大な土地と四億数千万の人口とを持ちながら、内部抗争の紛擾の中にある。忌憚なく言えば、中国は一種の泥沼であって、そこに足を踏みこんだら....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
先月某新聞に競輪のことを書いたが、そのときはまだ競輪を見たことがなかった。二十万円ちかい大穴だの、八百長|紛擾、焼打、そうかと思うと女子競輪などゝ殺気の中に色気まであり、百聞は一見に如か....