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「紛然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

紛然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
題が頭のなかに起ると、これを解釈しようと云うので今まで静まり返っていたやからが、紛然《ふんぜん》雑然《ざつぜん》糅然《じゅうぜん》としてあたかもコンノート殿下歓....
写生文」より 著者:夏目漱石
で、どんな纏《まとま》った道行を作ろうとも畢竟《ひっきょう》は、雑然たる進水式、紛然たる御花見と異なるところはないじゃないか。喜怒哀楽が材料となるにも関《かか》....
趣味の遺伝」より 著者:夏目漱石
れば気が済まん。擂鉢《すりばち》の中に攪《か》き廻される里芋《さといも》のごとく紛然雑然とゴロゴロしていてはどうしても浩さんらしくない。だから、何でも構わん、旗....
天主閣の音」より 著者:国枝史郎
て其先が漏斗型をなし、矢張り黒く塗られていた。 簀子の上には様々の模型が、雑然紛然と取り散らされてあった。屋根の模型、大砲の模型、人形の模型、動物の模型、鳥の....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
励めと言われて来たことを考えた。世は濁り、江戸は行き詰まり、一切のものが実に雑然紛然として互いに叫びをあげている中で、どうして国学者の夢などをこの地上に実現し得....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
目ざましい繁昌を約束するようなその界隈は新しいものと旧いものとの入れまじりで雑然紛然としていた。 今は旅そのものが半蔵の身にしみて、見るもの聞くものの感じが深....
灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
を漸とこさ持出したゞけで、商品は殆んど全部が焼けて了ったという。 雑然喧然騒然紛然たる中に立って誰からとなく此咄を聞きつゝ何とも言い知れない感慨に堪えなかった....
不尽の高根」より 著者:小島烏水
名を記したものだが、藍、黄、白、黒、柿色などで染抜いた手拭が、秋林の朽ち葉落葉の紛然雑然たるが如く、雲の飛ぶ大空の下、簡単にして大まかなる、富士の大斜線に、砂の....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
下は性の開放者までいる。数こそ少ないが、この船の中の人間と、その性格に至っては、紛然雑然として帰一するということを知らない。 五月丸の乗組は、その信仰と結合に....
女難」より 著者:国木田独歩
馬車の往来、人車の東西に駈けぬける車輪の音、途を急ぐ人足の響きなど、あたりは騒然紛然としていた。この騒がしい場所の騒がしい時にかの男は悠然と尺八を吹いていたので....
沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
中へ進んで行った。 仏租界ほどの品もなく、英租界だけの規律もなく、ただ米租界は紛然として、繁昌を通り越して騒がしかった。街々を歩いている人々には、印度人もあれ....
魔都」より 著者:久生十蘭
。 省線電車は高架線の屋根の上を轟然と驀馳し、砥道の谷底をトラックとタクシーが紛然と矢の如く行き交う。……あらゆる物音は雑然混然と入り混り溶け合い、大空をどよ....
平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
売《せり》が始まっていると思うと、こちらでは荷主と問屋が手を〆《し》める。雑然、紛然、見る眼を驚かす殷賑《いんしん》。 源内先生と福介はこの大混雑にあッちから....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
そうとしております。 その他、あらゆる物事に、差別と平等が時に結び時に離れて、紛然雑然として起滅を繰返しております。 私たちは、この間に処し、自分自身に対し....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
、滑かな膚が鋭い菱角を尖らせ、伏すもの、峙つもの、横に長きもの、縦に平たきもの、紛然と入り乱れた上を、両手に石を抱いておずおず辿って行く。偃松はとうに姿を匿して....