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「素早い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

素早いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
僕等の話題になったことは含芳自身にもわかったらしかった。彼女は現に僕の顔へ時々素早い目をやりながら、早口に譚と問答をし出した。けれども唖《おうし》に変らない僕....
百合」より 著者:芥川竜之介
た。金三は先に立ったまま、麦と桑とに挟《はさ》まれた畔をもう一度右へ曲りかけた。素早い良平はその途端《とたん》に金三の脇《わき》を走り抜けた。が、三間と走らない....
土曜夫人」より 著者:織田作之助
、娘の言葉のなまりがなつかしかった。 「うん。焼けてん」 娘は暗室のカーテンへ素早い視線を送っていた。 「お父さんは……?」 「監獄……。未決に……」 はい....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
けで、当人だって真逆にこんな事になろうとは思わなかったのでしょう。なにしろ相手の素早いには驚きましたよ」 「小ッ旗本の道楽者にゃあ摺れっからしが多いから、うっか....
爬虫館事件」より 著者:海野十三
うですよ」 「ああ、そう」西郷副園長は簡単に応えたが、其の後でチラリと帆村の方に素早い視線を送った。 帆村は知らぬ風をして、この会話の底に流れる秘密について考....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
では一杯もらおう」 「えっ、それはかたじけないことで――」 と、長谷部大尉は、素早いモーションで、隠しから二つのコップをつかみ出すと、卓子の上に置いた。そして....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
お目こぼし、姉さんが改札口で見つからなかったも同じだが、酒となると恐多い……)と素早いこと、さっさ、と片づけて、さ、もう一のし。 今度はね、大百姓……古い農家....
日置流系図」より 著者:国枝史郎
った筈じゃ。そしてその時はその柏屋がちゃんと店を開いていたのじゃ。いかに大江戸は素早いと云ってもものの一日と経たないうちに格子造りの染め物店が黒門|厳めしい武家....
加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
なった。 十九 斬ると同時に紋太夫は岩の蔭へ身を引いたが、真に素早い行動である。しかしそれにも劣らなかったのは、斃れた土人が手に持っていた人骨....
三甚内」より 著者:国枝史郎
、三度目の真っ向拝み打ち、それが皆外されたので武士は心中驚いていた。 「世間には素早い奴があるな。それにやり方が無茶苦茶だ。喧嘩の呼吸で来られては見当が付かず扱....
仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
拳を固め、猿を地上へ叩き落とし、主税は猛然と躍りかかった。 だが、何と猿廻しの素早いことか、こんもり盛り上っている山査子の叢の、丘のように高い裾を巡って、もう....
善悪両面鼠小僧」より 著者:国枝史郎
した声。 「掛けると同時にヒラリと起き長押の薙刀をお取りになったがいやどうもその素早いことは、武芸の嗜みも想われて急にこっちは恐くなり何にも取らずにバタバタと逃....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
よう、懲らしてやりました。……あまりに不作法に喋舌りますのでな。……が、あいつも素早い奴でござる。ケシ飛び方が神妙でござった。裏鋩子を胴へ受けたばかりでござろう....
夜の構図」より 著者:織田作之助
」 「まア、そうね」 「なぜ、断らなかったの……?」 何気なく言って、ちらっと素早い視線を冴子の顔に投げた。 「なぜって……?」 「うん」 返答に困るだろう....
活人形」より 著者:泉鏡花
、外へ遁出し雲を霞、遁がすものかと銀平は門口まで追懸け出で、前途を見渡し独言、「素早い、野郎だ。取遁がした、残念々々と引返せば、得右衛門は興覚顔にて、「つい混雑....