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素知らぬ
「素知らぬ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
素知らぬの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇賊悲願」より 著者:海野十三
ピストルをつかみ出して、畳の上へ置いた。 烏啼は、その方をちょっと睨んだだけで
素知らぬ顔で話をすすめる。 「貫一。この仕事はお寺さまから仏像を盗みだすんだ」 ....
「千早館の迷路」より 著者:海野十三
て行った。だが二人は、その英国の古城風の煉瓦の塀が三ヶ所において崩れているのを、
素知らぬ顔で見て過ぎた。それに反して、正面の厳めしい鉄門も、裏口にある二つの潜り....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
に驚き、且つ活ける玩具の、手許に近づきたるを見て、糸を手繰りたる小児、衝と開いて
素知らぬ顔す。 画工、その事には心付かず、立停まりて嬉戯する小児等を※す。 よ....
「転機」より 著者:伊藤野枝
にもいっさい話すまいと固く断念した。山岡にも其後幾度も遇いながら、それについては
素知らぬ顔で通した。 二年後に、私とTとは、種々な事情から一緒に暮らすことはで....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
云うがまず笑いて、 「若お師匠様、おめでとう存じます、おほほほほほ。」 小親は
素知らぬ顔したり。重子というが寄添いつつ、 「ちょいと、何がおめでたいのさ。」 ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
せるのも気まりがわるいが、それよりも一|層恥かしいのは神さまの手前でした。あんな
素知らぬ顔をして居られても、一から十まで人の心の中を洞察かるる神様、『この女はま....
「春」より 著者:岡本かの子
?)、加奈子は、ぎくりとして廊下の端へ身を寄せて少し足早に歩き出した。加奈子は、
素知らぬ顔で行き過ぎようとして女をそっと視た。渋い古大島の袷に萎えた博多の伊達巻....
「バットクラス」より 著者:岡本かの子
という自然のダイヤがいれてあった。これをそっと紙で巻き耳の穴に押し込み、正門から
素知らぬ顔で堂々とその片眼鏡のにせ貴族は退去したそうだ。そういう時でも、主人はあ....
「噴水物語」より 著者:岡本かの子
だからね」と殆ど泣き笑いとでもいうべき語調を床にいる夫人の方へ投げかけた。夫人は
素知らぬ顔で水量の平衡を保って、如何にも健全そうな噴水を、とみこう見していたが、....
「押しかけ女房」より 著者:伊藤永之介
ていた。 恋に狂つた蛙の声が一際やかましい夜が来た。昼の間は互いに顔をそむけて
素知らぬ風をしていたが、寝床に入ると佐太郎はソツと初世の手をひいた。 「俺の家に....
「あの顔」より 著者:大倉燁子
知っている者かだったら、ひしがくしにしているのをほじくりもしなかったでしょうし、
素知らぬ顔で見て見ぬふりもしていたでしょうが、私は嫉妬にかられて何の考えもなく、....
「妖影」より 著者:大倉燁子
のだった。 「墓を開けたのは執事の黄の仕業でした。彼は娘の指を断って指輪を盗み、
素知らぬ顔をして家へ帰って来ていたのです。私が黄を信用しているので、大丈夫自分に....
「魔性の女」より 著者:大倉燁子
か。馬鹿にしてやがる。 しかし、昨夜のことをもう知っているとは全く驚く。そして
素知らぬ顔をしているのだから、悪どい奴だ。 「魔物、魔性の女!」 彼は日記を叩....
「むかでの跫音」より 著者:大倉燁子
見抜いている事だろう。内心嘲笑しながら話を聞いていたのも、疾くに知っていて故意と
素知らぬ振りを装っているのかも知れない、と思うと少々気まりが悪るくもなるのだった....
「情鬼」より 著者:大倉燁子
らこそ大使が死ぬと早速故国へ引揚げてしまったのではないか。ほとぼりをさましてから
素知らぬ顔で小田切家にまた現れてくるに相違ない。もしかするとその秘密の一部を久子....