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紫檀
「紫檀〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
紫檀の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
行方を占って頂きたいと云った。
すると老人は座敷の隅から、早速二人のまん中へ、
紫檀《したん》の小机を持ち出した。そうしてその机の上へ、恭《うやうや》しそうに青....
「老年」より 著者:芥川竜之介
き実とみてよる鳥や冬椿」とかいてある。小さな青磁の香炉が煙も立てずにひっそりと、
紫檀の台にのっているのも冬めかしい。
その前へ毛氈《もうせん》を二枚敷いて、床....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
しました。
すると間もなく煙客翁は、庁堂《ちょうどう》へ案内されました。ここも
紫檀《したん》の椅子《いす》机が、清らかに並べてありながら、冷たい埃《ほこり》の....
「樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
その二冊のうちには、あの「わが袖の記」のはいっている五巻がある。自分はその一冊を
紫檀《したん》の机の上へ開いて、静かに始めから読んでいた。
むろんそこには、い....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
らの生温い渋茶一杯|汲んだきりで、お夜食ともお飯とも言い出さぬ。座敷は立派で卓は
紫檀だ。火鉢は大きい。が火の気はぽっちり。で、灰の白いのにしがみついて、何しろ暖....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
とに今日は話が話と思うものから一層改まって、畳二畳半ばかり隔てて父の前に座した。
紫檀の盆に九谷の茶器|根来の菓子器、念入りの客なことは聞かなくとも解る。母も座に....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
すワ……」 それで関所は無事通行を許された。 そこは十二畳位の大広間だった。
紫檀の大卓子を囲んで、和服に羽織袴の立派なる人物が三人、いずれも年の頃は五十を過....
「蠅男」より 著者:海野十三
褪せたけれど、黒のふちをとった黄色い絨毯が、ドーンと床の上に拡がっていた。そして
紫檀に似た材で作ってある大きな角|卓子が、その中央に置いてある。その上には、もと....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
、その夜は宿の親戚の女どもの寝室になっていた。彼女はその手前の室の中にはいって、
紫檀の茶ぶ台の向うに立ちどまった。 「許して下さい。」 彼女は恐怖で慄えながら....
「河明り」より 著者:岡本かの子
った。それは私を気易くさせた。 この宿の堆朱の机の前に座って、片手を小長火鉢の
紫檀の縁に翳しながら、晩秋から冬に入りかける河面を丸窓から眺めて、私は大かた半日....
「時限爆弾奇譚」より 著者:海野十三
っても、気にすることなんか一向ないのさ」 「なるほど、なるほど。ええと第五号は、
紫檀メイタ卓子か。それから第六号が、拓本十巻ヲ収メタル書函か。それから……」 ....
「四次元漂流」より 著者:海野十三
いの。変てこでしょう」 母親は道夫のために小箪笥からおやつの果物をとりだして、
紫檀の四角いテーブルのうえへならべながらいった。 「じゃあ、雪子姉さんは、はだし....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
ばかりの羽根毛蒲団に、ふっくりと、たんぜんで寛いだ。…… 寝床を辷って、窓下の
紫檀の机に、うしろ向きで、紺地に茶の縞お召の袷羽織を、撫肩にぞろりと掛けて、道中....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
い。 ちんちんをするような形で、棒を呑んでしゃっきりと立った、愛吉の前へ小さな
紫檀の食卓の上から、衝と手を伸ばして、 (親方、申上げよう、) といって猪口を....
「しんぱくの話」より 著者:小川未明
会の掟でもあろうかと思ったのであります。 ついに、しんぱくは、岩頭のかわりに、
紫檀の卓の上から垂れたのでした。そして、星のかわりに、はなやかな電燈が照らしたの....