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累
「累〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
累の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「桃太郎」より 著者:芥川竜之介
る。
むかし、むかし、大むかし、この木は山谷《やまたに》を掩《おお》った枝に、
累々《るいるい》と実を綴《つづ》ったまま、静かに日の光りに浴していた。一万年に一....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
ったならば、どうしよう。臣子の分として、九原《きゅうげん》の下《もと》、板倉家|
累代《るいだい》の父祖に見《まみ》ゆべき顔《かんばせ》は、どこにもない。
こう....
「誘惑」より 著者:芥川竜之介
げる。
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「さん・せばすちあん」の右の耳。耳たぶの中には樹木が一本
累々と円い実をみのらせている。耳の穴の中は花の咲いた草原《くさはら》。草は皆そよ....
「或る女」より 著者:有島武郎
て来た。葉子はすぐに封を開いて見た。
「事《こと》重大となり姿を隠す。郵便では
累《るい》を及ぼさん事を恐れ、これを主人に託しおく。金も当分は送れぬ。困ったら家....
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
は自分の悲しみにばかり浸っていてはならない。お前たちの母上は亡くなるまで、金銭の
累《わずら》いからは自由だった。飲みたい薬は何んでも飲む事が出来た。食いたい食物....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
先生、」 と更めて、両手を支いて、息を切って、 「申訳がございません。とんだ連
累でお在んなさいます。どうぞ、姉さんには、そんな事をおっしゃいません様に、私を御....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
しているのである。ケプラーの家族はプロテスタントの信徒であったためにいろいろの煩
累に悩まされなければならなかった。 ケプラーの研究によって、天文学はアリスタル....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
とき高処に出づ。また出づ、やや低し。なお見ゆ、少しく高し。その数|五個になる時、
累々たる波の舞台を露す。美女。毛巻島田に結う。白の振袖、綾の帯、紅の長襦袢、胸に....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
日、大雨の降続いたその七日七晩めに、町のもう一つの大河が可恐い洪水した。七の数が
累なって、人死も夥多しかった。伝説じみるが事実である。が、その時さえこの川は、常....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
雨を含んだ風がさっと吹いて、磯の香が満ちている――今日は二時頃から、ずッぷりと、一降り降ったあとだから、この雲の
累った空合では、季節で蒸暑かりそうな処を、身に沁みるほどに薄寒い。…… 木の葉....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
かり、早くから並んでいるのに。 赤福の餅の盆、煮染の皿も差置いたが、猪口も数を
累ねず、食べるものも、かの神路山の杉箸を割ったばかり。 客は丁字形に二つ並べた....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
「ファラデーは長命であった。それゆえ、この鍛冶職の子で製本屋の小僧が、一方では
累計百五十万ポンド、そのいずれを撰むべきかという問題に出会ったわけだが、彼は遂に....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
りしという。すなわちその思想は純然たる古流にして、三河武士一片の精神、ただ徳川|
累世の恩義に報ゆるの外|他志あることなし。 小栗の人物は右のごとしとして、さて....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
した。―― 可恐しい荒海らしい、削立った巌が、すくすく見えて、沖は白波のただ打
累る、日本海は暗いようです。黒島を立って、剣地、増穂――富来の、これも俳友の家に....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
とだけはいまだにありありと覚えている。しかも僕の見た人形芝居は大抵小幡小平次とか
累とかいう怪談物だった。僕は近頃大阪へ行き、久振りに文楽を見物した。けれども今日....