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細帯
「細帯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
細帯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「子供の病気」より 著者:芥川竜之介
に」と云った。「大丈夫だよ。手|探《さぐ》りでも」自分はかまわずに電燈をつけた。
細帯一つになった母は無器用《ぶきよう》に金槌《かなづち》を使っていた。その姿は何....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
った。眩しいほどの美貌だが、同時に暗闇のような男であった。 だから陽子も寝巻に
細帯というはしたない姿を、京吉の眼にさらしておれたのだが、急にこの暗闇からピカリ....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
轡《さるぐつわ》を箝《は》めてておくれ」 渠は内儀を縛《いまし》めんとて、その
細帯を解かんとせり。ほとんど人心地《ひとごこち》あらざるまでに恐怖したりし主婦《....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
やじ》を見向いて、
(しょうがないねえ、)といいながら、かなぐるようにして、その
細帯を解きかけた、片端《かたはし》が土へ引こうとするのを、掻取《かいと》ってちょ....
「ある抗議書」より 著者:菊池寛
まして、細君が精一杯の大声を発して人殺しと呼びましたから、又其の場に在り合わせた
細帯にて遂に二人共殺してしまいました。目の前に夫が締め殺されるのを見て居る細君の....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
云っている。 「帯は普通の女帯では勿論なく、又細紐でもなく、若干巾広の女の用うる
細帯でした。何分時が経つので、すっかり忘れて終いましたが、帯が普通の女帯でなかっ....
「霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
有難うがんす……」 由「もし旦那……内儀でしょうが、結髪に手織木綿の単衣に、前掛
細帯でげすが、一寸品の好い女で……貴方彼処に糸をくって、こんな事をして居るのは女....
「竹の木戸」より 著者:国木田独歩
いので可恐々々ながら障子戸を開けるとお源は炭俵を脚継にしたらしく土間の真中の梁へ
細帯をかけて死でいた。 二日|経って竹の木戸が破壊された。そして生垣が以前の様....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
すと、欄干の下を駆け抜けて壁について今、婆さんの前へ衝と来たお米、素足のままで、
細帯ばかり、空色の袷に襟のかかった寝衣の形で、寝床を脱出した窶れた姿、追かけられ....
「寄席と芝居と」より 著者:岡本綺堂
き帯をむすび、腰に狐の皮の袋(中に鉄砲の小道具入り)をさげ、客の荷物を負ふ連尺を
細帯にて手軽に付け、鉈作りの刀をさし、手造りのわらじを端折り高くあらはしたる毛脛....
「夜光虫」より 著者:織田作之助
「どうするって……?」 「帰れる、その恰好で……」 「帰られへんわ」 寝巻に
細帯だけだった。おまけにその寝巻は宿屋のものなのだ。よしんば借りて帰るにしても、....
「歌麿懺悔」より 著者:邦枝完二
であろう。昼間飲んだ酒に肥った己が身を持て余していると見えて、真岡木綿の浴衣に、
細帯をだらしなく締めたまま西瓜をならべたような乳房もあらわに、ところ狭きまで長々....
「血の盃」より 著者:小酒井不木
良雄ばかりではなかった。良雄が気絶して仰向きに横わって居る真上には、屋根裏の梁に
細帯をかけて、可憐のあさ子が、物凄い顔をして縊死を遂げて居たのである。 人々は....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
せさらぼい、年紀六十に余るのが、肉の落窪んだ胸に骨のあらわれたのを掻いはだけて、
細帯ばかり、跣足でしかも眼が血走り、薪雑木を引掴んで、飛出したと思うと突然、 「....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
すだけであって着物の仕立方は同じ事である。帯は幅一|寸五|分位、丈は八尺位、まあ
細帯のようなものです。それは決して結ぶということはないので、その帯の先の織出しの....