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終列車
「終列車〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
終列車の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「影」より 著者:芥川竜之介
――そうかも知れない。――じゃ停車場《ていしゃば》へ来ていてくれ給え。――いや、
終列車にはきっと帰るから。――間違わないように。さようなら。」
受話器を置いた....
「或る女」より 著者:有島武郎
赤《か》な毛布《もうふ》を一枚買って帰って来た。葉子はとうとう我《が》を折って最
終列車で東京に帰る事にした。
一等の客車には二人《ふたり》のほかに乗客はなかっ....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
逢って見ねばならぬ。
此の様な決心で塔を出て、夜に入って倫敦へは着いたが、最う
終列車の出た後だ、一夜を無駄に明かすも惜しい程の場合だから、何か此の土地で秀子の....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
惣助の計らいで、不意に汽車の中で逢って、横浜まで送る、と云うのであった。ところが
終列車で、浜が留まりだったから、旅籠も人目を憚って、場末の野毛の目立たない内へ一....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
キー場なのだろう。シュプールがたくさん残っている。吉川へ下って若桜まで歩いたが、
終列車の出た後なのでそのまま春米へ行った。翌日ワサビ谷を登ってみたが、長くて閉口....
「青服の男」より 著者:甲賀三郎
はさっぱり分らなかった。午後六時までは確実に彼は別荘に来なかったから、六時以後、
終列車までに来なければならない筈である。午後六時六分着から午前零時三十四分着まで....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
た。兄ももうあかんと考えた。 兄は電報で、彼女の姉とその亭主を呼んだので彼らは
終列車で到着した。姉は蓆の上で無残なる胴体と化けている妹を見て泣いた。しかしその....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
び、人家はなく、線路は近し、シグナルが青く、いくつかの列車が往復した。もう今度が
終列車らしいのだ。これを外してはまたあす一日歩かねばならぬ。R子は私を抱いていう....
「若草物語」より 著者:オルコットルイーザ・メイ
うつというと、どなりつけたんだ。それでぼくかえって決心して、うってしまったんだ。
終列車は、午前二時につくからぼく迎えにいく。」 「ローリイ、あなた天使だわ。どん....
「火の扉」より 著者:岸田国士
こゝへ来たのであつた。 しかし、大阪行はよほど前に出たあとで、今夜は和歌山行が
終列車でもうそれだけだということがわかつた。 ――どうして、あの時、いつしよに....
「取舵」より 著者:泉鏡花
は、乗客の便を謀りて、午後六時までに越後直江津に達し、同所を発する直江津鉄道の最
終列車に間に合すべき予定なり。 この憐むべき盲人は肩身狭げに下等室に這込みて、....
「くまと車掌」より 著者:木内高音
う話も、まあ、そんな時分のことなのだ。 秋のことだった。終点の|I駅からでる最
終列車に後部車掌をつとめることになったわたしは、列車の一ばん後の貨車についた三|....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
が鳴った。周章てて急坂を駈下りて転がるように停車場に飛込みざま切符を買った処へ、
終列車が地響き打って突進して来た。ブリッジを渡る暇もないのでレールを踏越えて、漸....
「春雪の出羽路の三日」より 著者:喜田貞吉
を御依頼しておいたから、いずれ本誌において御紹介し得るの機会があろう。 この夜
終列車の急行で帰京。出羽滞在丸三日に過ぎなかったが、あまり同地方を知らぬ自分にと....
「深夜の客」より 著者:大倉燁子
一汽車早く乗れば、その危険から逃がれ得たかも分らないのに、と彼女は残念に思った。
終列車に乗り込んだ洋子は疲れきっていたが、妙に眼が冴えて、居眠りする気にもなれな....