終夜[語句情報] » 終夜

「終夜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

終夜の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
小さき者へ」より 著者:有島武郎
。東京まで付いて来てくれた一人の学生は、お前たちの中の一番小さい者を、母のように終夜抱き通していてくれた。そんな事を書けば限りがない。ともかく私たちは幸《さいわ....
船医の立場」より 著者:菊池寛
。彼らのつつましい悪怯《わるび》れない態度を見たワトソンは、その夜船室の寝台で、終夜眠れなかった。 四 不幸な日本青年についての事件が起っ....
俊寛」より 著者:菊池寛
ように、三反ばかりの沖合に錨を投げて、そこで一夜を明かすのであった。 俊寛は、終夜浜辺に立って、叫びつづけた。最初は罵り、中途では哀願し、最後には、たわいもな....
聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
い結核患者で見る影もないよ。あいつは昨夜ジナイーダが結婚すると云う噂に亢奮して、終夜この周囲を彷徨き歩いていたと云うのだがね。しかし、あの男は犯人じゃない。」そ....
田原坂合戦」より 著者:菊池寛
、西郷|起つとの報が東京に達すると、政府皆色を失った。大久保利通は、悒鬱の余り、終夜|睡る事が出来なかったと云う。そして自ら西下して、西郷に説こうとしたが、周囲....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
其方も……追っては屠らるる。同じ生命を、我に与えよ、と鼻頭を撫でて牛に言い含め、終夜芝を刈りためたを、その牛の背に山に積んで、石を合せて火を放つと、鞭を当てるま....
死者の書」より 著者:折口信夫
の動かして見せる筬や梭の扱い方を、姫はすぐに会得した。機に上って日ねもす、時には終夜織って見るけれど、蓮の糸は、すぐに円になったり、断れたりした。其でも、倦まず....
獄中消息」より 著者:大杉栄
ずまず通過した。もっともこの間には、一月十日過ぎの三、四日の雪の間のごとき、終日終夜慄え通しに慄えていたようなこともあったが、やがて綿入れを一枚増して貰ったのと....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
については、多くの説がある。しかしそれらを要約すれば、何か怪しいものが船の周囲を終夜飛びあるくというのである。ピーターヘッドのサイディ・ムドナルドもそれを見たと....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
しい。 幾ら気が張っていても、疲労には勝たれぬ。市郎は昨夜雨中を駈廻った上に、終夜殆ど安眠しなかった。加之も今朝は朝飯も食わなかった。疲労と不眠と空腹とが重っ....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ベットでは酒を煖ためて飲むということは全くない。で前に言いました通り茶と酒は終日終夜絶間なく飲むのです。即ちこれが最も幸福の状態チャ・チャン・ペンマ(酒と茶とこ....
西航日録」より 著者:井上円了
港し、ここに滞泊す。その夜中の実景は詩中にて見るべし。 風寒人影少、唯見電灯連、終夜船来去、汽声破客眠。 (風は寒く、人影もまれに、ただ電灯の連なっているのを見....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
穏静、海水油のごとく、夕照朱のごとし。汽煙直立して動かず。漁舟、商船去来たえず。終夜、英蘭東北岸に沿いて北走す。灯台前後相迎送し、一時に四、五の灯光に応接するあ....
とと屋禅譚」より 著者:岡本かの子
て、客たちを成るたけ早く部屋々々へ引き取らせ、自分は馴染の太夫の部屋に起きていて終夜、魯八を間者に使って雲水僧の消息を一々探り取らせた。 魯八の諜報に依ると、....
ある夜の星たちの話」より 著者:小川未明
。 このとき、これに対して、あちらに輝いている小さな星がいいました。この星は、終夜、下の世界を見守っている、やさしい星でありました。 「いえ、いま起きている人....