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絡まる
「絡まる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
絡まるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「雷峯塔物語」より 著者:田中貢太郎
て、家の内に置かれるのが厭だから、強いて傘ばかり借りて外へ出た。ぱっとさした傘に
絡まる軽い爽かな雨の音。 洋場頭へ往ったところで、聞き覚えのある優しい女の声が....
「黒髪」より 著者:近松秋江
んだら格子のお召の着物をきて、ところどころ紅味の入った羽二重しぼりの襦袢の袖口の
絡まる白い繊細い腕を差し伸べて左の手に巻紙を持ち、右の手に筆を持っているのが、賤....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
最も有力な動機としていたことは、軍部の公表によって広く知れ渡っている。床次逓相に
絡まる五十万元事件は、元憲兵曹長他一名の手によって作製配布されたものであり、両名....
「死体の匂い」より 著者:田中貢太郎
りの土蔵、四壁ばかり残った石造の建物、火の入った金庫、鉄骨、流れ藻のように手足に
絡まる電線、石、瓦、煉瓦、灰、消え残りの火、煙。私は荒漠たる焼け跡を通って本石町....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
があった。その岩の辺りで、折々花が揺れて、さらさらと靡くのは、下を流るる水の瀬が
絡まるのであろう、一鳥声せず。 理学士は、それともなく石滝の奥ではないかと、ふ....
「蛇性の婬 」より 著者:田中貢太郎
て、家の内に置かれるのが厭だから、強いて傘ばかり借りて外へ出た。ぱっとさした傘に
絡まる軽い爽かな雨の音。 洋場頭に往ったところで、聞き覚えのある優しい女の声が....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
前へ、絶間なく揺すりどよめいて、動乱の極に達している。それがメヅウサの頭にもつれ
絡まる蛇をおもわせる。 これが青木繁の若い時に描いた海景である。額縁の横幅約二....
「海豚と河豚」より 著者:佐藤垢石
薄く出ている。それを噛むと牛肉のような硬さがない。そして、鮪のとろのように口中に
絡まる脂肪のあくどさがない。あっさりと舌端にとけてしまう。 おいしい。牛肉と、....
「小伜の釣り」より 著者:佐藤垢石
の教えをよく守る。十二、三回、糸を波に送り流し、餌を取られるうちに、うぐいが餌に
絡まる振舞を呑み込んだらしい。次第に手馴れていくほどに、三度に一度は鈎合わせがき....
「巣離れの鮒」より 著者:佐藤垢石
巣離れの鮒というのである。 鮒は厳冬の頃でも寒鮒釣りの鈎にかかるが、それは餌に
絡まる振舞が甚だ不活発であるから、集団にめぐり会わなければ大釣りはないものである....
「蜻蛉返り」より 著者:佐藤垢石
に、加工が上手であるから、肌がなめらかで艶々とし、質に軽い脂肪を含んでいて、齒に
絡まるほどのねばりを持っている。台湾産のものは、それより少し卵の粒が大きいが、秋....
「幼き頃の想い出」より 著者:上村松園
に、享楽し、且つ執着して居たわけでございますが、後年成長して馬琴と北斎との※絵に
絡まるエピソードを知るようになって、一層私は少女時代の絵本類に懐かしい追憶を昂め....
「棚田裁判長の怪死」より 著者:橘外男
なく語り合ってみましたが、今でも私の記憶に残っているのは、晃一郎君自ら自分の家に
絡まる、昔からの妙な伝説に触れた時のことでした。 「どういうのか僕の家には、昔か....
「墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
んとに、よく来て下さいました。……もううれしくて……うれしくて……」 痰が喉に
絡まるのであろう、看護婦が綿棒で取ってやっている。 「手紙が書けないものですから....
「港の妖婦」より 著者:田中貢太郎
ら」 女はビンを持って二度目の酌をした。それと同時に女の二つの足端が右の足首に
絡まるのを感じた。謙作はまぶしそうに眼を伏せた。 「お婆さんのお酌で、お気のどく....