絶巓[語句情報] » 絶巓

「絶巓〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

絶巓の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
腰を据《す》えて周囲の平凡な景色などをながめて満足してはいられない。自分の目には絶巓《ぜってん》のない絶巓ばかりが見えていたい。そうした衝動は小休《おや》みなく....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
だ。漆《うるし》のような闇が大河の如《ごと》く東へ東へと流れた。マッカリヌプリの絶巓《ぜってん》の雪だけが燐光を放ってかすかに光っていた。荒らくれた大きな自然だ....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
まもなく、よもやそこにと思われる中空の雲のあいだから、ぬうっと突きでた深紅の絶巓――。おう、まだ地球が秘めている不思議の一つと思うまに、その紅《くれない》の....
雪の白峰」より 著者:小島烏水
あるに呆れ候、一昨夕、稀なる夕映、望遠鏡にて西山一帯を眺めいたるところ、駒ヶ岳の絶巓《ぜってん》、地蔵の頭、間の岳、農鳥の絶頂なる、各三角測量標を、歴々と発見い....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
んだ悪魔が、肉付きのいい右の肩だけを波の上に現わしている、その肩のような雷電峠の絶巓をなでたりたたいたりして叢立ち急ぐ嵐雲は、炉に投げ入れられた紫のような光に燃....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
初めてこの秘められたる、白い肌に触れたのである。 羚羊・長之助草(北岳の絶巓に登る記) それから尾根伝いに、間の岳の絶頂まで這い上り、三等三角測量標の....
平ヶ岳登攀記」より 著者:高頭仁兵衛
ヶ岳を思い込んでから失敗ばかり重ねていたが、今年(大正四年七月十八日)に平ヶ岳の絶巓に立って鶴ヶ岳を望見することが出来た、以下その紀行を兼ねた案内記を書くことに....
穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
十分、最高峰奥穂高「信飛界、奥穂高岳、徹蔵氏」「信飛界、岳川岳、フィシャー氏」の絶巓に攀じ登った。南穂高からは半里で、およそ二時間かかる、頂の広さ十数歩、総て稜....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
しまった。 飽きたら先に徳島城へ帰るかと、啓之助が放っておくと、こんどは、まだ絶巓には氷原もあろうというのに、蟻の小道まで踏破しゆかねば、阿波守への土産話にな....
三国志」より 著者:吉川英治
えた。寄手は皆地へ伏し、眼をふさぎ、耳を忘れていたが、その声に振り仰ぐと、山峡の絶巓はいくらか平盤な地になっているとみえて、そこに賊の一群が見え「地公将軍」と書....
秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
此処の圧巻であろう。温泉岳から金精山や前白根に至る諸峰も指呼の間にある。奥白根の絶巓も何処かでちらと見たようであったが判然しない。 湯元に来ると二度も雪が降っ....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
円味を帯びた空線を描いて、更に東へ向けて掬うように雪崩れ込んでいるのがわが劒岳の絶巓である。天に近きこと約そ三千米、額には雪の宝冠が白金の如く輝いている。 二....