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「絶望〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

絶望の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
十本の針」より 著者:芥川竜之介
ら》の中に薔薇《ばら》の花の咲いた天国であろう。そこにはまた「あきらめ」と称する絶望に安んじた人々のほかには犬ばかりたくさん歩いている。もっとも犬になることも悪....
浅草公園」より 著者:芥川竜之介
でしまう。少年はいろいろあせった後《のち》、こちらを向いて歩きはじめる。ほとんど絶望に近い表情。 35 カッフェの飾り窓。砂糖の塔、生....
カルメン」より 著者:芥川竜之介
はいつのまにか亜米利加《アメリカ》人の商人の世話になっている。そいつを見た侯爵は絶望したんだね、ゆうべホテルの自分の部屋で首を縊《くく》って死んじまったんだそう....
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
たまま、親船の沈むのを見る、難破した船長の眼で、失敗した原稿を眺めながら、静かに絶望の威力と戦いつづけた。もしこの時、彼の後ろの襖《ふすま》が、けたたましく開け....
袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
方で渡を殺してしまってやる。」――涙がなくて泣いているあの女の目を見た時に、己は絶望的にこう思った。しかもこの己の恐怖は、己が誓言《せいごん》をした後《あと》で....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
のが、持って生まれた因縁《いんねん》かも知れない。――そんな事がただ彼女の心へ、絶望的な静かさをのしかからせたばかりだった。 お蓮はそこへ坐ったなり、茫然と犬....
子供の病気」より 著者:芥川竜之介
てしまった」自分もいつか笑っていた。「しかし存外好さそうですね。僕はもう今ごろは絶望かと思った」「多加ちゃん? 多加ちゃんはもう大丈夫ですとも。なあに、ただのお....
青年と死」より 著者:芥川竜之介
れ。 男 お前も己が一度も歎願に動かされた事のないのを知っているだろう。 B (絶望して)どうしても己は死ななければならないのか。ああどうしても己は死ななければ....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
、凄壮そのもののような彼の姿に一種の威圧を感じたらしかった。が、これもすぐにまた絶望的な勇気を振い起して、 「よし。」と噛《か》みつくように答えたと思うと、奮然....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
、もし真に楽天主義なるものの存在を許し得るとすれば、それは唯《ただ》如何に幸福に絶望するかと云うことのみである。 「家《いへ》にあれば笥《け》にもる飯《いひ》を....
さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
とうとう、この疑問も結局答えられる事がないのかと云う気になった。所が丁度そう云う絶望に陥りかかった去年の秋の事である。自分は最後の試みとして、両肥《りょうひ》及....
狂女」より 著者:秋田滋
ませたり、小さな冷肉の片を口のところまで持っていって食べさせてやったりしていた。絶望の底にあるこの魂のなかでは、どんなことが起っていたのだろう。それは知るよしも....
」より 著者:秋田滋
ついて物を考えることなどは出来なかったのであります。彼女が死んでしまうと、劇しい絶望のために、わたくしは茫然としてしまって、もう考えも何もなくなってしまいました....
ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
ストルを傍らに置いて書き綴った手記である。私はこれを極めて興味あるものだと思う。絶望の果てに決行されるこうした行為の裏面に、世間の人が極って探し求めるような大き....
寡婦」より 著者:秋田滋
のながい束を一つ貰ったのです。そ、それが――これなのです」 そう云って、老嬢は絶望的な身振りをして、わなわな顫える手を前にさし出した。 それから幾度も幾度も....