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「絹張り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

絹張りの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
義血侠血」より 著者:泉鏡花
《ちりめん》の蹴出《けだ》しを微露《ほのめか》し、素足に吾妻下駄《あずまげた》、絹張りの日傘《ひがさ》に更紗《さらさ》の小包みを持ち添えたり。 挙止《とりなり....
あやかしの鼓」より 著者:夢野久作
ふすま》や、つつましやかな恰好の銀色の引き手や、天井の真中から下っている黒枠に黄絹張りの電燈の笠まで何一つとして上品でないものはない。 私は思わず今一度溜め息....
白髪小僧」より 著者:杉山萠円
がら悠々と娘の両親に案内されて奥の一室《ひとま》に通って、そこに置いてある美事な絹張りの椅子に腰をかけました。 ここで家《うち》中の者は着物を着かえた娘を先に....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
でお千代も娘作りになる。同じ銀杏返し同じ袷小袖に帯もやや似寄った友禅|縮緬、黒の絹張りの傘もそろいの色であった。緋の蹴出しに裾端折って二人が庭に降りた時には、き....
出家とその弟子」より 著者:倉田百三
部屋の中をあちこち歩く。それから柱に背をあてて立ったままじっと考えている。 浅香絹張りの行灯を持ちて登場。入り口に立ちながら善鸞を見る。善鸞浅香に気がつかずにじ....
田舎教師」より 著者:田山花袋
したという。ことに、寺の本堂が狭かったので、中にはいれなかった人々は、蛇の目傘や絹張りの蝙蝠傘を雨滴れのビショビショ落ちる庇のところにさしかけて立っていた。読経....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
をもった、北海道時代から持ち越しの、例の仏蘭西製のスタンドも、こてこて刺繍のある絹張りのシェイドに、異国の売淫窟を思わせる雰囲気を浮かび出させるのであった。 ....
雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
どう思召しておいでやら――」 四 人を交えぬ、二人だけの、離れ家の静寂――絹張り、朱塗りの燭の火が、なつかしく輝く下に、美しい、若い男女は、激しい情熱の瞳....
道標」より 著者:宮本百合子
がおの花と葉の間に身をおいたような感じの装飾だった。床にしかれたカーペットも壁の絹張りの色もいちように薄みどりの色のニュアンスに調和されていて、天井には、ほんと....
夜の靴」より 著者:横光利一
駅から雨の中を傘なしで妻と子供が帰って来たとき、後から来た見たこともない青年が、絹張りの上等の洋傘を渡した。そして、さして行けといってきかないので借りて来たが、....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
いうより、室内劇場とでも命名したい、ささやかな、けれど暖く落着いた一室で、真赤な絹張りの安楽椅子が、劇場の観覧席のように舞台の方を向いて並んでいる。正面に高目の....
虎狩」より 著者:中島敦
れて行った。外《そと》の空を映して青く透った水の中には、五六本の水草の間を、薄い絹張りの小|団扇《うちわ》のような美しい、非常にうすい平べったい魚が二匹静かに泳....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
張りの蝙蝠傘三円五十銭のを、これに限る、これを買えというのだ。それで僕は買った。絹張りのステッキ蝙蝠傘なぞは駄目だというのだ。まったく僕にも似合わないからね。国....