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「網代〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

網代の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
死が、におったというわけではない。見ると、猪熊《いのくま》の小路のあたり、とある網代《あじろ》の塀《へい》の下に腐爛《ふらん》した子供の死骸《しがい》が二つ、裸....
報恩記」より 著者:芥川竜之介
の寸法《すんぽう》です。わたしは路ばたの天水桶《てんすいおけ》の後《うしろ》に、網代《あじろ》の笠や杖を隠した上、たちまち高塀を乗り越えました。 世間の噂《う....
おぎん」より 著者:芥川竜之介
人《こくじん》となり、あるいは舶来《はくらい》の草花《くさばな》となり、あるいは網代《あじろ》の乗物となり、しばしば同じ村々に出没した。夜昼さえ分たぬ土の牢《ろ....
」より 著者:芥川竜之介
した女が通る。その後《あと》からは、めずらしく、黄牛《あめうし》に曳《ひ》かせた網代車《あじろぐるま》が通った。それが皆、疎《まばら》な蒲《がま》の簾《すだれ》....
「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
庇《ひさし》、戸袋、板目なぞも狭き処《ところ》を皆それぞれに意匠《いしょう》して網代《あじろ》、船板、洒竹などを用ゐ云々」。かつまた、「竹材を用ゆる事の範囲|並....
富士」より 著者:岡本かの子
もふじ》の束鮒《つかふな》を漁ろうと、狭手《さで》網さしわたしている。下つ瀬には網代《あじろ》人が州の小屋に籠《こも》って網代に鱸《すずき》のかかるのを待ってい....
鯉魚」より 著者:岡本かの子
五月のある日、しぶしぶ雨が降る昼でした。淵の魚はさぞ待っているだろうと、昭青年は網代笠《あじろがさ》を傘《かさ》の代りにして淵へ生飯を持って行きました。川はすっ....
古狢」より 著者:泉鏡花
、実際、初茸、しめじ茸は、この落葉に生えるのである。入口に萩の枝折戸、屋根なしに網代の扉がついている。また松の樹を五株、六株。すぐに石ころ道が白く続いて、飛地の....
一枚絵の女」より 著者:国枝史郎
日はわけても褒められるので、心うれしく立ち振る舞った。 と店先を人々と混って、網代の笠を冠った新発意が、その笠をかたむけおきたを見ながら、足を早めて通って行っ....
首頂戴」より 著者:国枝史郎
、辻五郎、秋山七左衛門、警衛として付いて行く。つづいて行くのが天一坊の輿物、飴色網代蹴出造、塗棒朱の爪折傘、そいつを恭々しく差しかけている。少し離れて行くものは....
十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
」 「ナーニ、奥州は宮城野の産だ。……そなたこそ江戸の産まれであろうな」 「房州網代村の産でござんす。……ご免遊ばせ」 とスッと立ち、向こう側の座席へ行ってし....
夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
にして巻いてあった。そしてその下に、中央には、日の丸形の円孔が空いている、細かい網代織りの方旛が、五つ連なっていた。重量は非常に軽く一本が六、七百匁程度で、それ....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
統の貴族として、国持ち城持ちのお身柄でもないのに、世々|従四位下|侍従にも進み、網代の輿に爪折り傘を許され、由緒の深いりっぱなお身分、そのお方のご家老として、世....
余齢初旅」より 著者:上村松園
て敷き、それにくるまってねるのである。狭い船を自分の家にして住まっている。船には網代の苫のようなものが三つほどあって、真中に鏡台やら世帯道具やらがおいてある。大....
雪柳」より 著者:泉鏡花
小さな楓に半ば覗かせて、引込んだ敷石に、いま打った水らしい、流れるばかり雫が漾う網代戸を左右に開いた、つい道端の戸口に、色白な娘が一人、芸妓の住居でないから娘だ....