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網棚
「網棚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
網棚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「女生徒」より 著者:太宰治
らない。こっちの方が図々しいのかも知れない。 仕方なく、アンブレラとお道具を、
網棚に乗せ、私は吊り革にぶらさがって、いつもの通り、雑誌を読もうと、パラパラ片手....
「オリンポスの果実」より 著者:田中英光
すから、なにか照れ臭《くさ》く、まごまごすると、慌《あわ》てて手帳をベッドの上の
網棚《あみだな》に、抛《ほう》りあげ、そそくさ、部屋を出て行きました。
二十分....
「三の字旅行会」より 著者:大阪圭吉
場券を買い、お客を送るようなふりをして、東京へ三時につく列車の、三等車の三輛目の
網棚へ乗っけて、そのまま知らん顔をして引揚げる。列車はお客さんの手荷物と思い込ん....
「たずねびと」より 著者:太宰治
仰ぐと、それまで私のうしろに立っていたらしい若い女のひとが、いましも腕を伸ばして
網棚の上の白いズックの鞄をおろそうとしているところでした。たくさんの蒸しパンが包....
「映画芸術」より 著者:寺田寅彦
して絞り明けると白いばらの花束を整える手に変わる。あるいは室内のトランクが汽車の
網棚のトランクに移り変わるような種類である。ところが、連句ではこれに似たことがし....
「火星兵団」より 著者:海野十三
。
その寝台というのは、ちょっと風がわりな形をしていた。それは、ちょうど列車の
網棚を、もっと深くしたようなかっこうになっていて、体を入れると、すっぽりとはいり....
「太平洋魔城」より 著者:海野十三
ような応対ぶりに見とれていたが、はっとわれにかえり、いいつけどおり、この操縦室の
網棚から麻綱の束をかかえおろした。 「さあ、ケレンコさん。これで胴中をゆわえて、....
「香水紳士」より 著者:大阪圭吉
、娘時代の信子さんへの、お別れとお慶を兼ねて、叔母さんのお家へ出掛けるのだった。
網棚の上の風呂敷の中には、お母さんから托された、お祝いの品が包んである。昨日、お....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
も緑色は人の神経を鎮静させる効用をもつ――びろうど張りのふくよかな肘掛椅子、上に
網棚、まんなかに通路、絵笠をかぶった電灯、白服の給仕がひとり――「空をゆく応接室....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
っていた。 「お姉さん、私一ペンだけは、遊びに行ってもいいでしょう。」姉の荷物を
網棚に置きながら、美和子がいうと、 「ダメよ。」と、にべもない返事に、美和子はし....
「深見夫人の死」より 著者:岡本綺堂
近づいたので、三、四人の乗客はそろそろと下車の支度をはじめて、その一人が頭の上の
網棚から自分の荷物をおろそうとする時に、汽車にゆられて手をはずして、半分おろしか....
「最初の苦悩」より 著者:カフカフランツ
ンコ乗りは不十分ながらなんとかふだんの生活のしかたにかわるように、旅のあいだ上の
網棚で時を過ごす。つぎの客演場所の小屋ではブランコ乗りが到着するずっと前にブラン....
「頸の上のアンナ」より 著者:神西清
夫婦は二人きりになった。モデスト・アレクセーイチは仕切車のなかを見廻し、手荷物を
網棚の上に載せてから、微笑を浮べて小さな妻の向い側に腰を下した。この官吏は中背で....
「父の葬式」より 著者:葛西善蔵
った」 「そうだったなあ……」 ヘンに目立つような真四角な風呂敷包みを三等車の
網棚に載せて、その下の窓ぎわに腰かけながら、私たちはこう囁き合ったりした。不憫な....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
れには前面と裾とに卵色の薄いカーテンが掛っている。天井も同じ絹布で張って、壁には
網棚もある。平時は関釜連絡船で、このベッドには朝鮮総督とか師団長とか最長官の用に....