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綿糸
「綿糸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
綿糸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「捨児」より 著者:芥川竜之介
。ちょうど母が歿《な》くなる前年、店の商用を抱えた私は、――御承知の通り私の店は
綿糸の方をやっていますから、新潟界隈《にいがたかいわい》を廻って歩きましたが、そ....
「縮図」より 著者:徳田秋声
「靴が本職で馬が道楽か。けどあまり親に注ぎこむのも考えものだね。」 そのうち
綿糸堀へ来たので、銀子はおりてしばらく窓際に立っていた。このころ銀子の家族は柳原....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
は町の人家を徴発して下宿した。これも今日の俳句生活と一つの関係だが、私の下宿は木
綿糸の糸車を造る老人夫婦の小さな家であって、この老人は発句を作って何とかの俳号も....
「浅草紙」より 著者:寺田寅彦
はないかと思ったりした。 紙片の外にまださまざまの物の破片がくっついていた。木
綿糸の結び玉や、毛髪や動物の毛らしいものや、ボール紙のかけらや、鉛筆の削り屑、マ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
初めた。それは車の輪がたくさんにある帝政および復古時代の刺繍の一つで、綿布の上に
綿糸でなすのだった。退屈な仕事に頑固《がんこ》な女工という形である。そうして彼女....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
、ビラをはる吾人の仲間らは、待ち伏せられて獄に投ぜられたのである。」――「最近の
綿糸の下落は、多くの中立者らを吾人の説に帰依せしめた。」――「民衆の未来は吾人の....
「方則について」より 著者:寺田寅彦
いまでも漠然たるものになりはしまいか。この曖昧さ加減を最も明らかに吾人に示すのは
綿糸の撚り糸である。一条の撚り糸を与えられてその長さを精密に測ろうと企てた人は、....
「明日」より 著者:井上紅梅
つはその隣の單四嫂子で、彼女は前の年から後家になり、誰にも手頼らず自分の手一つで
綿糸を紡ぎ出し、自活しながら三つになる子を養っている。だから遅くまで起きてるわけ....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
彼は日本に忠告したり、X国に抗議するようなことはしない。日本はX国から紙・石油・
綿糸(これが先の総理大臣の呼称と同じことで、実を書くと秘密が知れるから、品目の名....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
ていると信じられるのである。それは彼の地における我が移民の活動に見ても、また人絹
綿糸などで日本が英米を圧する勢いにあるのを見ても、すでに日本人の優秀さは充分立証....
「ロボットとベッドの重量」より 著者:直木三十五
根底を動揺させるからね。レーヨンの発達が、生糸を圧迫し、生糸の生産原価の低廉が、
綿糸へ影響し、そのレーヨンが、近来、人造羊毛のために、四苦八苦しているなんざ、よ....
「赤げっと 支那あちこち」より 著者:国枝史郎
るのでズボンがふんだんにズリ下り、臍の辺を常住に見せているのには降参した。 某
綿糸屋の若旦那は、朝、食堂へ出るのに折目のついたモーニングを着、夜、食堂へ出るの....
「知々夫紀行」より 著者:幸田露伴
杏返しというに結び、指には洋銀の戒指して、手頸には風邪ひかぬ厭勝というなる黒き草
綿糸の環かけたるが立出でたり。さすがに打収めたるところありて全くのただ人とも見え....
「遁走」より 著者:葛西善蔵
たものの載っている古雑誌を引張りだして、私の分を切抜いて、妻が残して行った針と木
綿糸とで、一つ一つ綴り始めた。皆な集めても百|頁にも足りないのだ。これが私の、こ....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
中を細引で縛った長持を二人で担ぎ、文身といっても能い文りではございません、紺の木
綿糸を噛んで吐き附けた様な筋彫で、後からギシ/″\やって参りまするから、細路ゆえ....