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緊
「緊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
緊の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春」より 著者:芥川竜之介
しでも変化があったとすれば、それは浅黒い顔のどこかにほとんど目にも止らぬくらい、
緊張《きんちょう》した色が動いただけだった。
「ええ、ぜひわたしも姉さんに聞いて....
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
、――わたしは夢の覚めたように、しけじけ首を眺めました。するとその紫ばんだ、妙に
緊《しま》りのない唇《くちびる》には、何か微笑《ほほえみ》に近い物が、ほんのり残....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
《しょうこういん》の墓所《はかしょ》には、四基《しき》の石塔が建てられた。施主は
緊《かた》く秘したと見えて、誰も知っているものはなかった。が、その石塔が建った時....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
なりました」と、いかにも慌《あわただ》しくつけ加えた。自分たちはますます好奇心の
緊張を感じて、ひっそりと鳴りを静めながら、熱心に先生の顔を見守っていた。が、毛利....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
るともなく流れる大川の水の色は、静寂な書斎の空気が休みなく与える刺戟《しげき》と
緊張とに、せつないほどあわただしく、動いている自分の心をも、ちょうど、長旅に出た....
「三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
しこう》した。しかし悪びれた気色《けしき》などは見えない。色の浅黒い、筋肉の引き
緊《しま》った、多少|疳癖《かんぺき》のあるらしい顔には決心の影さえ仄《ほの》め....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
、顔をむけた。皺の重なり合った中に、可笑《おか》しさをこらえているような、筋肉の
緊張がある。
「あなたは私に同情して下さるらしいが、」こう云って、老人は堪《こら....
「出帆」より 著者:芥川竜之介
ら、胃がしくしく、痛む。とうてい彼のしゃべる英語を、いちいち理解するほど、神経を
緊張する気になれない。
そのうちに、船が動きだした。それも、はなはだ、緩慢《か....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
の四隅《よすみ》までが、丁度|刃物《はもの》を見つめている時のような切ない神経の
緊張を、感じさせるようになった。
修理《しゅり》は、止むを得ず、毎日陰気な顔を....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
ん。ですから二人はお島婆さんの家の前を隣の荒物屋の方へ通りぬけると、今までの心の
緊張が弛《ゆる》んだと云う以外にも、折角の当てが外《はず》れたと云う落胆まで背負....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
、倒れ伏していたのです。 杜子春は必死になって、鉄冠子の言葉を思い出しながら、
緊く眼をつぶっていました。するとその時彼の耳には、殆声とはいえない位、かすかな声....
「墓」より 著者:秋田滋
、云い知れぬ興奮で、わたくしの心を揺ぶるのでした。自分の掌のなかに彼女の手を把り
緊めていると、わたくしのこの胸には、それまで想像だもしなかったほどの愉しい気持ち....
「初雪」より 著者:秋田滋
。そして荒寥たる土地のうえに落ちて来る暗澹たる夜の淋しさをひしひしと感じて、胸を
緊められるような思いがするのだった。 やがて彼女は呼鈴を鳴らして、召使にランプ....
「寡婦」より 著者:秋田滋
ちめんに漂っておりました。すると、その子は出し抜けに立ちどまって、私の手をにぎり
緊めて、こう云うのです。 「あれを御覧なさい。あれを――。でも、従姉さんには僕と....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
われるような悦びに、今はもう口も利けない、その父母をかわるがわるひしとばかり擁き
緊めるのだった。 大きな幸福が訪れて来たことを知って、二人の婦人も泣いていた。....