»
総て
「総て〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
総ての前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
ドゥニパー湾の水は、照り続く八月の熱で煮え立って、
総ての濁った複色の彩は影を潜め、モネーの画に見る様な、強烈な単色ばかりが、海と空....
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
四つになった年の八月の二日に死が殺到した。死が総《すべ》てを圧倒した。そして死が
総てを救った。
お前たちの母上の遺言書の中で一番崇高な部分はお前たちに与えられ....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
に存在を開始したという仮定には奇妙な矛盾が含まれている。一体宇宙に関する諸問題を
総てただ一人の力で解決しようというのは無理な話である。それで、ラプラスが、自分は....
「活動写真」より 著者:淡島寒月
いう事をいうが、活動写真には端役というべきものはないように思われる。どれもこれも
総てが何らかの意味で働いているように思われる。それから室の装飾の如き物は
総てその....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
愛し、五月信子や筑波雪子の写真も座臥に用意して喜べる。こういう風に私は事々物々|
総てに親愛を見出すのである。 ◇ オモチヤの十徳 一、トー....
「我が宗教観」より 著者:淡島寒月
した。けれども真実の禅ではなく、野狐禅でもありましたろうか。しかし父の雅の上には
総て禅味が加わっていた事は確かでした。 私も父の子故、知らず識らず禅や達磨を見....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
釣なり。 その代り、釣具其の他に対する注意も。鈎をおろすに方りて、大事とること
総て此の如くなれば、一旦懸りたる魚は、必ず挙げざる無く、大利根の王と推称せらるる....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
を脱却して自給自足経済の基礎を確立することが第一の急務なるを痛感し、外交・内政の
総てをこの目的達成に集中すべく、それが国防の根本であることを堅く信じて来たのであ....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
ちょっとうけ口のようになって、その清い唇の左へ軽く上るのが、笑顔ながら凜とする。
総てが薄手で、あり余る髪の厚ぼったく見えないのは、癖がなく、細く、なよなよとして....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
快は、やや自分の今に近い。打撃はもとより深酷であるが、きびきびと問題を解決して、
総ての懊悩を一掃した快味である。わが家の水上僅かに屋根ばかり現われおる状を見て、....
「茶の湯の手帳」より 著者:伊藤左千夫
ることは出来ぬ、 予を以て見れば、現時上流社会堕落の原因は、 幸福娯楽、人間
総ての要求は、力殊に金銭の力を以て満足せらるるものと、浅薄な誤信普及の結果である....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
に帰って活き返ったのもおとよさんゆえだ。もう毛のさきほども自分に迷いはない。命の
総てをおとよさんに任せる。 こういう場合に意志の交換だけで、日を送っていられる....
「こがらし」より 著者:岩本素白
四谷、牛込、麻布という土地に住んで、大方が山の手組であったが、家の系統を聞くと、
総てずっとをはずした怠け方をする者はなかったが、それでも時々は妙な理由をつけては....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
値を定める。この通弊は単に画のみの問題でなく、また独り日本ばかりの問題でもない。
総ての公平な判断や真実の批評は常に民族的因襲や国民的偏見に累わされない外国人から....
「駆逐されんとする文人」より 著者:内田魯庵
命とし、文学を売って衣食している者があるから、仮に之を称して職業と呼んでおるが、
総ての職業を通じて一貫しているは同一任務の機械的反覆であって、同じ芸術家でも俳優....