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「緑酒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

緑酒の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
HUMAN LOST」より 著者:太宰治
ロは、黙した。一切の表情の放棄である。美妓《びぎ》の巧笑に接して、だまっていた。緑酒を捧持されて、ぼんやりしていた。かのアルプス山頂、旗焼くけむりの陰なる大敗将....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
かし仙台の国歌とも云うべき「さんさ時雨」が、芸妓の生鈍い肉声に歌われて、いわゆる緑酒紅燈の濁った空気の中に、何の威厳もなく、何の情趣も無しに迷っているのに較べる....
光と風と夢」より 著者:中島敦
体と、短いであろう生命とを賭《か》ける以外に、救いのないことを、良く知っていた。緑酒と脂粉の席の間からも、其の道が、常に耿々《こうこう》と、ヤコブの砂漠で夢見た....
ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
である。かれは高い堤に立って胸一ぱいにはって高らかに歌う。 ああ玉杯に花うけて、緑酒に月の影やどし、 治安の夢にふけりたる、栄華の巷低く見て、 向ヶ岡にそそり立....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
るし、金に渇《かつ》えている時分にこそ、金があったらひとつ昔の壮遊を試みて、紅燈緑酒の間《かん》に思うさま耽溺《たんでき》してみよう、なんぞと謀叛気《むほんぎ》....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
見えぬ後目《しりめ》にかけて、山科谷から、島原の色里にまで、影を追うて往年の紅燈緑酒の夢を見て帰ったという消息をもまことしやかに伝える者もある。或いはまた月光霜....
古典竜頭蛇尾」より 著者:太宰治
が、日本の古典は、その点ちっとも用に立たぬ。まさしく、死都である。むかしはここで緑酒を汲んだ。菊の花を眺めた。それを今日の文芸にとりいれて、どうのこうのではなし....
病牀苦語」より 著者:正岡子規
昔は髭をひねって一人えらそうに構えたこともある。のろけをいうほどの色話はないが、緑酒紅燈天晴天下一の色男のような心持になったこともある。しかしそれは何だ。色気と....