»
緘
「緘〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
緘の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
詰《なじ》れり。 「馬丁さん、ほんとに約束だよ、どうしたってんだね」 なお渠は
緘黙《かんもく》せり。その脣《くちびる》を鼓動すべき力は、渠の両腕に奮いて、馬蹄....
「忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
厳が伴った。こうした場合、これまでも忠直卿の意志は絶対のものであった。土佐は口を
緘《つぐ》んだまま、悄然として引き退いた。 左太夫は、もう先刻から十分に覚悟を....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
容貌は、かえって哲学者のごときものであった。 英臣は苔蒸せる石の動かざるごとく
緘黙した。 一声高らかに雉子が啼くと、山は暗くなった。 勘助井戸の星を覗こう....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
をうまく貫いています。化膿さえしなければ、ズンズンよくなりますよ」 総監は口を
緘したまま、首を振って悦びの色を示した。 僕はそれから小一時間も付き添っていた....
「麻雀殺人事件」より 著者:海野十三
。(四)星尾が脱脂綿を落したことを園部が刑事に教えたのは、他のことについては口を
緘して語らない彼としては、不審な行動と思われないこともないこと。(五)園部が、わ....
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
ありました。死因に疑いを挟んだ医学者も居たのでしょうが、その場のことですから口を
緘して語らなかったのでしょう。こんな風にして、兄はとうとう赤耀館の悪魔の手に懸っ....
「赤外線男」より 著者:海野十三
ていた。しかし婦人が何者であるか、彼との関係はどうなのであるかについては中々口を
緘んで語らなかった。フィルムのことは意外にも、深山理学士の室から奪ったものだと告....
「ゴールデン・バット事件」より 著者:海野十三
白紙を置いてその上に壜の内容全部をとりだして測ったり、また封の切ってないものは封
緘を綿密に検べたり、なかなか念の入った検べ方だった。始めは感心していたものの、私....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
子は、毅然たる決意を明らかにした。彼女は自身の運命を犠牲にしてまでも、或る一事に
緘黙を守ろうとするらしい。
しかし、云い終ると何故であろうか、まるで恐ろしい言....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
高い。とにかく人間の現象のなかでは驚きということがいちばん高いなあ」 私は口を
緘してじっと考えた。明け放した障子の間から吹き込む夜風はまたしても蚊帳の裾を翻し....
「人造人間の秘密」より 著者:海野十三
が、この筒を開けたのだろう」 その筒のうえに、厳重に封をしてあったのに、その封
緘が二つにひきさかれ、そして筒には開いたあとがついている。 私は、ニーナをにら....
「暗号音盤事件」より 著者:海野十三
のことまでは白状したんだそうだ。しかし、それから奥のことについては、侯は一切口を
緘んで語らないので、ドイツ側じゃ、業を煮やしているらしい。この島へも、ドイツ側は....
「死者の書」より 著者:折口信夫
々のこだまは、驚いて一様に、忙しく声を合せた。だが、山は、忽一時の騒擾から、元の
緘黙に戻ってしまった。 こう。こう。お出でなされ。藤原|南家郎女の御魂。 こんな....
「偽刑事」より 著者:川田功
せられて居る人の様な眼を以て彼女に近付いた。と、彼女の持って居る反物の包紙は、封
緘紙が外れて居る事に気が付いた。恐らく未だ糊が生々しい時に外したのであろう。而し....
「父の出郷」より 著者:葛西善蔵
この春突然やってきて二晩泊って行ったが、つい二三日前北海道のある市の未決監から封
緘葉書のたよりをよこした。 ――その後は御無沙汰しておりました。七月号K誌おみ....