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締めて
「締めて〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
締めての前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
意のない男の顔を見ると、からだのどこかが揺《ゆす》られる気がして来て、わざと引き
締めて見せた口びるのへんから思わずも笑いの影が潜み出た。
それを見ると事務長は....
「或る女」より 著者:有島武郎
ようのないような自分の越し方《かた》行く末が絶望的にはっきりと葉子の心を寒く引き
締めていた。
それでも三人が十六畳に床を敷いて寝てだいぶたってから、横浜から帰....
「親子」より 著者:有島武郎
ぎになって、すわったままひとり角力を取って見せたものだったが、どうした癖か、唇を
締めておいて、ぷっぷっと唾を霧のように吹き出すのには閉口した」 そんなことをお....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
んなことをされても何ともないほどの薄情女かと、立っている吉弥の肩をしッかりいだき
締めて、力一杯の誠意を見せようとしたこともあるそうだ。思いやると、この放蕩おやじ....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
。ミチミは何処で求めたものか彼女らしい気品の高い単衣を着、そしてその上に青い帯を
締めていた。 「よく分ったネ。こんな所にいるということが――」 「ええ。――でも....
「軍用鼠」より 著者:海野十三
た熊笹がガサッと、人間を袈裟がけに切ったような無気味な音を立てた。彼は慌てて窓を
締めてカーテンを素早く引いた。 机の前の時計は午前三時を大分廻っていた。彼はま....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
ざんすか、分りましたか。」 と小児のように、柔い胸に、帯も扱帯もひったりと抱き
締めて、 「御覧なさい、お月様が、あれ、仏様が。」 忘れはしない、半輪の五日の....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
さるることなく、一つの永遠の墓衣のように地球を包み、一人の母のごとくに地球を抱き
締めているのである。 その暗黒がすべての物体、鉄や石の中までも沁み込むと、すべ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
さいまし、後生でございます。」 先に腕車に乗ったのは、新しい紺飛白に繻子の帯を
締めて、銀杏返に結った婦人。 「何だね、お前さん。」 「はい、鍵屋と申します御休....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
の廟の中に帰って来た。 土穀祠の中は、いっそうまっ闇だった。彼は大門をしっかり
締めて、手探りで自分の部屋に入り、横になって考えた。こうして気を静めて自分の思想....
「白光」より 著者:井上紅梅
県試験の年頭に当り、成績が発表されたあとで、このような彼の眼付を見ると、※々門を
締めて、余計なことに関係せぬに越したことはないから、真先きに人声が絶え、続いて次....
「幸福な家庭」より 著者:井上紅梅
道」に合するものだと思ってもみた。 「……だから主人公の書斎のドアは、とこしえに
締めておくものだ」 彼は席に戻って来て腰を下した。 「用事があって相談したいな....
「あゝ二十年」より 著者:上村松園
りません。そして約三十分間障子を明け放したままにしておきまして、それからぴたりと
締めてしまいます。そう致しますと、絶対に外面から虫も塵気も侵して来ませんから、画....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
からさまな前はだけで、土地で売る雪を切った氷を、手拭にくるんで南瓜かぶりに、頤を
締めて、やっぱり洋傘、この大爺が殿で。 「あらッ、水がある……」 と一人の女が....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
に紙を巻いてジウジウ吸っていたが、いよいよ烟脂が溜って吸口まで滲み出して来ると、
締めてるメレンスの帯を引裂いて掃除するのが癖で、段々引裂かれて半分近くまでも斜に....