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「編棒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

編棒の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
斜陽」より 著者:太宰治
予想せられ、もう、とても、生きておられないくらいに不安になり、指先の力も抜けて、編棒を膝に置き、大きい溜息をついて、顔を仰向け眼をつぶって、 「お母さま」 と....
田舎教師」より 著者:田山花袋
、傘を車の輪のように地上に回して来る頑童もあれば、傘の柄を頸のところで押さえて、編棒と毛糸とを動かして歩いて来る十二三の娘もあった。この生徒らを来週からは自分が....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
かし葉子は、子供の相手になって童謡を謳ったり、咲子にお化粧をしてやったり、器用に編棒を使ったり、気が向くと時には手軽な西洋料理を作るとか、または恋愛小説に読み耽....
氷蔵の二階」より 著者:宮本百合子
。なかなかうまい口笛であった。暫くしてやんだ。階下で笑声がする。――手馴れた竹の編棒、滑りよい絹混りの毛糸、あたりの浄らかな静けさ。三つが一つに調子を合わせ、ま....
一本の花」より 著者:宮本百合子
会ったって?」 と大きな声で云った。 「健ちゃん」 暫く幸子のペンの音と、竹の編棒の触れ合う音ばかりが夜の室内を占めた。そのうるおいある静けさが、彼の心にしみ....
鏡餅」より 著者:宮本百合子
まりこんだ元の場所から、佐太郎はカリンの机の前から、二人の女の、速い、むらのない編棒の動きを見ている。 半分カサがこわれながらも、明るい電燈の光が人のつまった....
日々の映り」より 著者:宮本百合子
だのに」 改めて、記憶の隅までをさぐり直す表情で、毛糸の玉をころがしつつ黙って編棒を動かしていたが、 「ちょっと!」 坐り直すほど気ごんで、 「乙女さん、ど....
朝の風」より 著者:宮本百合子
がしまわるのは何だろう。家ばかりのことでない。それはサヨも知っている。 友子の編棒からは、一段一段と可愛い桃色の毛糸の赤坊ケープがつくり出されていた。それを眺....
平凡」より 著者:二葉亭四迷
う。 部屋で机の前で今日の新聞を一寸《ちょっと》読む。大抵続物だけだ。それから編棒と毛糸の球を持出して、暫くは黙って切々《せッせッ》と編物をしている。私が用が....
旅人」より 著者:宮本百合子
《かぶ》に並んで腰をかけて、編物をして居る。 B子は赤い毛糸。 C子は青い毛糸。編棒を動かしながら二人は気が落ついて居るらしい口調で話して居る。 B ねえC....
田沢稲船」より 著者:長谷川時雨
手許になんぞ心は集中されなんかしなかった。ウーとうなると、グイと糸をひっぱって、編棒で突きさしたりして、丸い毛糸の玉を、むしゃくしゃに捻《ねじ》りあげてしまった....
日記」より 著者:宮本百合子
関で、張の強いはっきりした声をきいた時、自分はうれしい気持がした。 大きな袋に編棒を入れて居られるのが見える。国元から母上が来て居られる由、雑談をする時が増し....
好日」より 著者:三好十郎
はそのままの姿で並んだままジッとしていたが、登美がそれまで右手に握っていた金属の編棒を、着物の上から佐田の脚のどこかにグッと突き立てて、次第に力を加えて行く。佐....