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「緩む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

緩むの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
か――あの日以来の苦しい思が、今夜でやっと尽きるかと思えば、流石《さすが》に気の緩むような心もちもする。明日の日は、必ず、首のない私の死骸の上に、うすら寒い光を....
老妓抄」より 著者:岡本かの子
いるのだから、無理な骨折りを避けて、娘が努めるときは媚《こ》びを差控え、娘の手が緩むと、またサービスする。みち子にはそれが自分の菓子の上にたかる蠅《はえ》のよう....
俊寛」より 著者:菊池寛
見せながら、狂い回る。が、水際までは決して上らない。そして、俊寛の手が、少しでも緩むと矢のように、沖へ逸走する。彼は蔓を延ばしたり、緩めたりすることによって、水....
小田原陣」より 著者:菊池寛
来た。秀吉も攻めあぐんだ。小田原評定なんて云う言葉の起った所以である。一寸緊張が緩むと、面白いもので、家康、信雄が北条方へ内通して居ると云う謡言が、陣中にたった....
運命」より 著者:幸田露伴
長等、王の急を見、韃靼騎兵を縦って庸の軍の東北角を撃つ。庸|之を禦がしめ、囲やゝ緩む。能衝いて入って死戦して王を翼けて出づ。張玉も亦王を救わんとし、王の已に出で....
四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
と思うと、また生体を失う。繃帯をしてから傷の痛も止んで、何とも云えぬ愉快に節々も緩むよう。 「止まれ、卸せ! 看護手交代! 用意! 担え!」 号令を掛けたのは....
落穴と振子」より 著者:佐々木直次郎
それでも一分もたつと、私はこの争闘もやがて終ってしまうだろうと感じた。私は革紐の緩むのをはっきりと悟った。すでに一カ所以上も切れているにちがいないことがわかった....
暗黒公使」より 著者:夢野久作
の時の身分不相応な幸福そのものだったのであります。すなわち小生は自分の成功に気が緩むと共に、又も、生れ付きの飲酒癖に囚われるようになりまして、明け暮れロ市内の酒....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
中へ漕ぎ入れたでござります。 さあ、内海の青畳、座敷へ入ったも同じじゃ、と心が緩むと、嘉吉|奴が、酒代を渡してくれ、勝負が済むまで内金を受取ろう、と櫓を離した....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
には、手拭を持つ七兵衛の拳《こぶし》が緊張し、捕手がひるむ時には、七兵衛の手先も緩むかのように見える。 たまりかねた娘っ子の身うちは、こちらから手を合わせて七....
監獄部屋」より 著者:羽志主水
ンマリで又労役に精を疲らす、然し鳥渡《ちょっと》鵜の目鷹の目の小頭、世話役の目の緩むのを見て同様の会話が伝わる、外の組へも、又其外の組へも、悪事じゃ無いが千里を....
大岡越前」より 著者:吉川英治
、今夜から」 「え? ここへか」 「ほんの当座だ。二十日もたてば、十手風もきっと緩むとおれは見ている。どこか、そこらの、押入住居で我慢しよう。……たのむぜ、当分....