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緩め
「緩め〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
緩めの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「誘惑」より 著者:芥川竜之介
まわっている。
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広い暗の中にまわっている地球。地球はまわるのを
緩めるのに従い、いつかオレンジに変っている。そこへナイフが一つ現れ、真二つにオレ....
「浜菊」より 著者:伊藤左千夫
屋も無言。田か畑か判らぬところ五六丁を過ぎ、薄暗い町を三十分程走って、車屋は車を
緩めた。 「此の辺が四ッ谷町でござりますが」 「そうか、おれも実は二度ばかり来た....
「人間灰」より 著者:海野十三
うか。彼の威信はこの瞬間地に墜ちた。 「どうです署長さん」なおも青谷は苛責の手を
緩めなかった。「僕はそのことだけでも無罪の筈です。僕を苦しめてどうなるのです。そ....
「壊れたバリコン」より 著者:海野十三
中の官庁街を駆け抜けて行きました。 軈て僕の乗った自動車は三十|哩の最大速力を
緩めると共に一つの角を曲りました。警笛を四隣のビルディングに反響させ乍ら、自動車....
「恐しき通夜」より 著者:海野十三
くひらいては喘いでいた。だが彼の執念ぶかい両手は、なおも大尉の急所を掴んでそれを
緩めようとはしなかった。この儘に捨てておくと、二人とも共軛関係において死の門をく....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
、唯に気持がわるくて仕方がなかった。考えてみるのに、それは静枝が来てからこっちの
緩めようのない緊張のせいであろう。それから妾は静枝の対等の地位や静枝を帰すときに....
「食魔」より 著者:岡本かの子
弱々しい哀愁、焦れもできない馬鹿正直さ加減。一方、伯母は薄笑いしながら説得の手を
緩めない。鼈四郎としては「何の」と思いながら、逸子が必要な身の廻りのものとなった....
「断層顔」より 著者:海野十三
う。 だが、帆村は、心配しなくていいという意味の合図を甥に示しただけで、歩調を
緩めようともしなかった。大した自信だ。 三人が、アパートの入口へ続いた通路へ二....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
に忙しいのです。わが大英帝国は、東洋殊に中国大陸を植民地にするという方針を一歩も
緩めてはいない。これまで中国に数億ポンドの大金を出しているのですよ。そのような大....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
て、唄い棄てた。……饂飩屋の門に博多節を弾いたのは、転進をやや縦に、三味線の手を
緩めると、撥を逆手に、その柄で弾くようにして、仄のりと、薄赤い、其屋の板障子をす....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
く吹いて、 「首くくりでもなけりゃいいが、道端の枝に……いやだな。」 うっかり
緩めた把手に、衝と動きを掛けた時である。ものの二三町は瞬く間だ。あたかもその距離....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
人|砂烟を立てて、斜に小さく、空を駆けるかと見る見る近づき、懸茶屋の彼方から歩を
緩めて、悠然と打って来た。茶屋の際の葉柳の下枝を潜って、ぬっくりと黒く顕われたの....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
美少年は懇願した。 「好し、それでは、山神の祠の後へ廻わろう」と漸く武道者は手を
緩めた。 「これもこちらへ隠しまして」と美少年は草籠を片寄せると見せて、利鎌取る....
「快走」より 著者:岡本かの子
多摩川が銀色に光って淙々と音を立てて流れている。 次第に脚の疲れを覚えて速力を
緩めたとき、道子は月の光りのためか一種悲壮な気分に衝たれた――自分はいま溌剌と生....
「深夜の客」より 著者:大倉燁子
。突然、「さア行こう」と同じ声がした、と思うと非常ベルが鳴り、列車は俄かに速度を
緩め、停車しようとした。洋子はぼんやりと眼を開けていた。その時、突如出入口のドア....