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「緩り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

緩りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
「この二階から、鏡台山を――(少し薄明りが映しますぜ、月が出ましょう。まあ、御緩りなさいまし、)――それ、こうやって視るように、狼温泉の宿はずれの坂から横正面....
婦系図」より 著者:泉鏡花
んを連れて来て、一所にまたお汁粉をね。」 酒井は黙って頷いた。 「早瀬さん、御緩り。」 と行く春や、主税はそれさえ心細そうに見送って、先生の目から面を背ける....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
ます。一餉ほんのお弁当がわり。お茶と、それから臥らっしゃるものばかり。どうぞハイ緩り休まっしゃりましと、口上言うたが、着物は既に浴衣に着換えて、燭台の傍へ……こ....
式部小路」より 著者:泉鏡花
手繰るように取った。 「さあ、お入りな。」 後姿でお夏は格子を、 「おばさん、緩りだったでしょう、」 女房が前へ立って、 「お疾うございましたこと、何は、あ....
七宝の柱」より 著者:泉鏡花
色の青白い、痩せた墨染の若い出家が一人いたのである。 私の一礼に答えて、 「ご緩り、ご覧なさい。」 二、三の散佚はあろうが、言うまでもなく、堂の内壁にめぐら....
春昼」より 著者:泉鏡花
地雨にはなりますまい。何、また、雨具もござる。芝居を御見物の思召がなくば、まあ御緩りなすって。 あの音もさ、面白可笑く、こっちも見物に参る気でもござると、じっ....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
ます、えへへ。駕籠舁と、車夫は、建場で飲むのは仕来りでさ。ご心配なさらねえで、ご緩り。若奥様に、多分にお心付を頂きました。ご冥加でして、へい、どうぞ、お初穂を…....
註文帳」より 著者:泉鏡花
って来るとのこと。 「少し立込んだもんですからね、」 「いや、御苦労様、これから緩りとおひけに相成ます?」 「ところが不可ないの、手が足りなくッて二度の勤と相成....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
、そのまま夢になりそうな様子だった折から、細君もただそれだけにして、 「どうぞ御緩り。」 と洋燈を差置き、ちらちらと――足袋じゃない、爪先が白く、絨氈の上を斜....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
あいにく宅は普請中でございますので、何かと不行届の儀は御容赦下さいまして、まず御緩りと……と丁寧に挨拶をして立つと、そこへ茶を運んで来たのが、いま思うとこの女中....
湯女の魂」より 著者:泉鏡花
上首尾、小宮山は空可恐しく思っております。女は慇懃に手を突いて、 「それでは、お緩り御寝みなさいまし、まだお早うございますから、私共は皆起きております、御用がご....
デパートの絞刑吏」より 著者:大阪圭吉
しこれらの問題を解決するためには、私は先ず首飾の指紋を検出して見ますよ。では、ご緩り――」 司法主任は、元気な挨拶を残し、部下の警官を従えて食堂を出て行った。....
冬の日」より 著者:梶井基次郎
散らしていた。堯は永い間こんな空気に接しなかったような気がした。 彼は細い坂を緩りゆっくり登った。山茶花《さざんか》の花ややつでの花が咲いていた。堯は十二月に....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
。その寺には僧侶が二名ばかり居りますから此寺まで 気遣いもなかろうという考えで緩りして居りました。すると彼らから買うた一疋の羊が死んでしまったです。誠に可哀そ....
大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
を早めると、貧乏神も足を早め、見る見る駕籠を追い抜いてしまった。 「よしそれでは緩り行こう」――紋太郎はそこで足をゆるめた。 するとやはり貧乏神も、ゆっくりノ....