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縁側
「縁側〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
縁側の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
こに椅子《いす》もありますから」と言った。成程二脚の肘《ひじ》かけ椅子は黒ずんだ
縁側《えんがわ》に並んでいた。が、それ等は腰の高い、赤いクッションの色の褪《さ》....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
お母さんったら。――甲野さん、ちょっと来て下さい。」
お鈴の声は「離れ」に近い
縁側から響いて来るらしかった。甲野はこの声を聞いた時、澄み渡った鏡に向ったまま、....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
たか。」
九
和泉屋市兵衛を逐《お》い帰すと、馬琴は独《ひと》り
縁側の柱へよりかかって、狭い庭の景色《けしき》を眺めながら、まだおさまらない腹の....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
あさ》だった。お蓮《れん》は房楊枝《ふさようじ》を啣《くわ》えながら、顔を洗いに
縁側《えんがわ》へ行った。
縁側にはもういつもの通り、銅の耳盥《みみだらい》に湯を....
「子供の病気」より 著者:芥川竜之介
が》いに行った。するともう支度の出来た伯母は着肥《きぶと》った子供を抱きながら、
縁側をあちこち歩いていた。自分は色の悪い多加志の額《ひたい》へ、そっと唇《くちび....
「年末の一日」より 著者:芥川竜之介
た。僕は便器に向いながら、今日はふだんよりも寒いぞと思った。
伯母や妻は座敷の
縁側にせっせと硝子戸を磨いていた。がたがた言うのはこの音だった。袖無《そでな》し....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
ち》である。厠《かわや》へ行くのにかこつけて、座をはずして来た大石内蔵助は、独り
縁側の柱によりかかって、寒梅の老木が、古庭の苔《こけ》と石との間に、的※《てきれ....
「死後」より 著者:芥川竜之介
ことは勿論、玄関から奥へはいることも全然不徳義とは感じなかった。
妻は茶の間の
縁側《えんがわ》に坐り、竹の皮の鎧《よろい》を拵《こしら》えていた。妻のいまわり....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
の紙を刻んだ、小さな幣束《へいそく》が三四本、恭しげに飾ってある、――その左手の
縁側の外は、すぐに竪川の流でしょう。思いなしか、立て切った障子に響いて、かすかな....
「或る女」より 著者:有島武郎
…行っていらっしゃいまし」
と情を迎えるようにいって向き直ってしまった。古藤が
縁側に出るとまた突然呼びとめた。障子《しょうじ》にはっきり立ち姿をうつしたまま、....
「或る女」より 著者:有島武郎
出した。葉子の心はなおなお寛濶《かんかつ》になった。
倉地が部屋を出ると葉子は
縁側に出て手欄《てすり》から下をのぞいて見た。両側に桜並み木のずっとならんだ紅葉....
「碁石を呑んだ八っちゃん」より 著者:有島武郎
ん十だけ白い石くれない?」 といおうとしてふっと八っちゃんの方に顔を向けたが、
縁側の方を向て碁石をおもちゃにしている八っちゃんを見たら、口をきくのが変になった....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
のみならずまた曾祖母も曾祖父の夜泊まりを重ねるために家に焚きもののない時には鉈で
縁側を叩き壊し、それを薪にしたという人だった。 三 庭木 新しい僕の....
「親子」より 著者:有島武郎
しぼり出そうとした。 厠に立った父の老いた後姿を見送りながら彼も立ち上がった。
縁側に出て雨戸から外を眺めた。北海道の山の奥の夜は静かに深更へと深まっていた。大....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
に向かい、鳩の声を聞きながら、午前だけ仕事をすることにした。鳥は鳩や鴉の外に雀も
縁側へ舞いこんだりした。それもまた僕には愉快だった。「喜雀堂に入る」――僕はペン....